前回は石膏ボードの厚みと大きさの種類をいくつか紹介して、3×6版(さぶろくばん)と呼ばれる910mm×1820mmのサイズが一般的に使われるという話をしました。
21mm厚の商品については巾を910mmではなく606mmにしていて、厚みが増えることによる重量の増加に対応をしているのですが…
石膏ボードの厚みによって大きさを変えてしまったら、見た目にも影響が出てしまうのではないか、と思った方もいるかも知れません。
これはちょっと丁度良い機会なので、今回は石膏ボードの継ぎ目をどのように見せるのか、というあたりの話を考えてみたいと思います。
まずは石膏ボードの表面がどのような見た目になっているか、という話ですが、表面には紙が貼られていて石膏のざらざらな感じが出ないようになっています。
とは言うものの、単純に黄色っぽい紙が貼ってあるだけですから、これを意匠的に見せるのはちょっと厳しい感じですよね。
機械室とかであれば石膏ボード素地という考え方も当然アリなのですが、通常の居室で壁として見せたい場合には、何らかの仕上を石膏ボードの上に施していく必要があります。
どのような仕上材が選択肢としてあるか、という話は後ほど詳しく説明をしていく中でも触れますが、石膏ボードの表面仕上げは塗装仕上やビニルクロス仕上になる場合が多いです。
そうなると石膏ボードの継ぎ目は綺麗にパテで埋めて処理されることになるので、石膏ボードのサイズや継ぎ目の位置というのは意匠的にあまり関係がなくなります。
なので、石膏ボードの厚みが21mmの場合に少し小さい巾になったとしても、最終的な見え方が代わってしまう訳ではないので、特に問題はないという結論になります。
同じ面積で厚みだけが大きくなっていくと、かなり石膏ボードの重量が増えてくる事になり、一人で持つことが難しくなるなどの問題が出てきます。
そういった施工性などを考えて巾を小さくしているのですが、石膏ボードは継ぎ目を消すことが基本だという事を踏まえた上での判断という事なんです。
石膏ボードの継ぎ目詳細を紹介する前に、石膏ボードの端部形状にはいくつかの選択肢があるという話に触れておきます。
・テーパーエッジ
・ベベルエッジ
・スクエアエッジ
端部の形状によって継ぎ目処理の納まりが少し違ってくるのですが、きちんとした継ぎ目処理をする場合にはテーパーエッジを採用することになります。
テーパーエッジの石膏ボードを使った場合の継ぎ目処理はこんな感じになります。
石膏ボードの表面に仕上をした場合でもボードの継ぎ目が見えてしまわないように、という目的があるのでかなり厳重な処理をしていることが分かります。
次にベベルエッジの石膏ボードを使った場合の継ぎ目処理です。
こちらも同様に色々なテープやパテを重ねて継ぎ目を消しています。
こうしてふたつの継ぎ目処理方法を紹介すると、どちらの継ぎ目処理が良いのかという話になってくると思いますが、継ぎ目が目立ちやすい仕上の場合はテーパーエッジをお勧めします。
継ぎ目が目立ちやすい仕上というのは、主に塗装仕上という事になりますが、ビニルクロスでも薄い商品の場合は下地の凹凸を拾いやすいです。
これらの仕上になる予定の壁であれば、テーパーエッジによる継ぎ目処理を考えた方が良いかも知れません。
また、石膏ボード1枚張りの場合も同様に、壁にひび割れが出てしまう危険がありますので、塗装の場合は二枚石膏ボードを張ることをお勧めします。
一度塗装をかけたところにひび割れが出来てしまうと、それを補修するのは非常に大変になってくる、という点がまずは理由として挙げられます。
しかしそれ以上に、そもそも石膏ボード1枚の壁は揺れやすいので、頑張って補修をしたとしても根本的に問題が解決する訳ではない、というあたりが危険なんです。
条件が好転する訳ではなく単純に補修をしているだけなので、また同じような場所から継手のひび割れが発生する可能性も高いです。
塗装をした部分にひび割れが入ってしまうような状況になると、壁としての見た目が非常に良くない事になってしまいます。
そうしたリスクを負わないようにするには、やはり石膏ボードは2枚張った方が良い、ということになるかと思います。