建築に関する仕事に就くための最も一般的な流れはどんな感じなのか、という話を前回はかなりシンプルにではありますが考えてみました。
まずは大学の建築学科に進学して建築に関する勉強をして、大学を卒業するタイミングで設計事務所やゼネコンなどに就職する。
だけど建築学科がある大学に進学するためには、そもそもの話として、行きたい大学に進学するために受験勉強をする必要があります。
受験勉強というのは正直言ってかなりしんどい作業なんですよね。
長時間にわたって頭を使う作業がほとんどで、しかも科目によって頭を使う分野も違っていて、体力と集中力がたくさん必要になってくるという…
これは私だけではないと思いたいですが、かなり苦しい作業になっています。
これを楽しめるのは一部の強力なメンタルを持っている方だけではないかと、少なくとも私はやってみてそう感じました。
もうとにかく早く終わって欲しいというか。
と、私の話はさておき。
そうした苦行と呼んでも良いくらいの受験勉強を経て、なおかつ大学に入学した後もテストや課題などをこなして進級そして卒業を目指す訳です。
そして卒業前には就職活動を頑張って、設計事務所やゼネコンなどから内定をもらい、建築に関する仕事に就くことになる。
これが建築に関する仕事に就くために王道です。
■就職した後でも勉強は必要に…
大学の建築学部に入学した方は、当然のことですが建築に関する色々なことを勉強したり、課題で模型を造ったり図面を描いたりなどの経験を積んでいくことになります。
模型を造るスキルや図面を描くスキルというのは、もうやればやる程高まっていくものなので、繰り返しやることでどんどんスキルアップをしていくことでしょう。
もちろん知識についても同じで、きちんと勉強をしていく限り、自分の中にある知識というのはどんどん蓄積されていくことになります。
これを4年間、もしくは大学院まで進学した場合はあと2年間やる訳ですから、結構な知識とスキルを得られるのではないかと思います。
大学で知識とスキルを磨いてゼネコンや設計事務所に就職する訳ですけど、その知識で仕事をきちんとこなせるのかというと、なかなかそう上手くはいかないこともあります。
実際に仕事をしていく中では、今まで以上にもっと勉強したりスキルを磨いたりする必要がある、ということがたくさん存在するんですよね…
だったら大学で勉強することって何なの? と思ってしまいそうになりますけど、もちろん大学で学んだことが無駄になっている、ということを言いたい訳では全然ありません。
大学の建築学科で勉強してきた内容、そして磨いてきたスキルというのは、今度建築に関する仕事をやっていく上で確実に役立ってくれるはずです。
それはもう間違いありませんが、実際に仕事としてやっていく上で求められるものはもっとたくさんある、ということなんです。
建築関連の知識やスキルはもちろん重要になってきますが、それ以外にも、社会人としてのスキルなども必要になってくるはず。
例えば電話対応とか名刺の渡し方とか、そうした細かいことも意外にあったりします。
建築に関係ないことまで覚えるなんて面倒な…と、そんな極端な考えの方はあまりいないとは思いますが、そうした面倒なことも仕事では出てくるんですよね。
これらを含め、就職してから覚えることはかなり多岐にわたると思います。
だから大学を卒業して勉強から解放されたと思っていたとしても、結局は継続して勉強を続けていくことが必要になってきます。
今回伝えたかったのは、この結構当たり前の話です。
■受験勉強の意味
自分自身の経験から話をしてきた流れでは、大学に入学するために必要な受験勉強について結構ネガティブな感じで話をしてるな…と今読み返してみると感じます。
だって本当に大変な作業だし、本番で上手くいかないとまた来年の挑戦になったりするしで、なかなか気が抜けないんですよね、実際。
だけどそうした大変な思いをする大学受験というのは、社会人になって何の役にも立たない訳ではなく、それどころか非常に役に立つのではないかと私は考えています。
受験勉強を乗り越えた方というのは、自分のために継続して勉強する習慣を少なくとも一度は身に付けている、ということですよね。
これは結構な強みなんです。
受験勉強というのは、つまり継続して勉強する習慣を身に付けるための練習なのではないか、と私は思っています…今では。
もちろん当時はそんなことを思う余裕なんてありませんけど、ある程度社会人として経験を積んだ今となってはそう感じるんですよね。
それくらい社会人になっても色々な勉強が必要になってくる。
これは恐らく建築業界だけの話ではなく、大抵の仕事に言えることだとは思いますが、ついつい日常に流されると忘れがちなので改めて書いてみました。
この記事を読んでいる方の中で、まだ自分の進路を自分の頑張りで決めることが出来る権利を持っている方というのは非常に少ないとは思いますが…
もしそうした方であれば、受験勉強という試練はきっと将来の自分にとってプラスになる、という意見もあることを知っておいてもらえればと思います。
私を含めて、今から圧倒的に努力したとしても、劇的に数年後の自分を取り巻く環境を変えるというのはなかなか難しい。
そうした寂しい現実があります。
もちろん不可能ではないですけど、その代わりに失うものも結構大きくなってくる。
将来に関わる選択肢のカードを持っている方というのは、もうそのカードをたくさんは持っていない私としては、やっぱり羨ましく感じます。