□仕上材を決定するまで
仕上材の品番によってその規格サイズが決まってくる場合がある、という話を先ほどはしましたが、逆の表現をすると品番が決まらない限りはサイズが決まらないという事でもあります。
セラールやアルポリックや化粧ケイ酸カルシウム版などは、最大サイズに合わせて意匠的に割付の検討が必要になってくるものですが…
品番によってサイズが多少違うのであれば、品番が決まるまでは割付の検討が確定しないという事にもなり、これは色々な納まりに影響を与えることになります。
例えばコンクリート壁の開口位置は仕上材の割付による場合が多いのですが、開口の位置が決まらない限りコンクリートの打設が出来ないとか。
そうした色々な影響がある部分については、出来るだけ早めに品番を決めておく必要があり、そうした決定を管理していくことも施工者には求められます。
もちろん後で決めてもそれほど問題がない仕上材もあるので、そのあたりは優先順位をきちんと付けて決定していくことが理想です。
仕上材をの品番を決定するには設計者の役割になるので、残念ながらいくら施工者が頑張っても施工者だけでは品番を決めることは出来ません。
なので、施工者として「こうした理由があるので早めに仕上材を決めたい」という要望を設計者に出していき、それでスケジュールにあわせて仕上材を決定していく。
これは言うほど簡単なことではありませんが、理想的な話としてはこのような流れになります。
設計者としても別に仕上材を早めに決めたくないという訳ではないのですが、後でまとめて仕上材を決める方がイメージしやすいので、出来るだけ後にしたい傾向にあります。
そのあたりを施工者も理解しておく必要があるでしょう。
全部の仕上材を早く決めて欲しい、という感じの話ではなくて、どうしても決めておく必要があるものについて先に決める、というような考え方で進めていく事をお勧めします。
あまり関係のない仕上材を早く決めて欲しいと言う事も恐らく出来ますが…
実際に施工している現場を見に行った時に、あまりその決定が関係なかった事を知ると、施工者に対する信用が少なくなっていくはず。
仕事は信頼関係が重要なので、そうした小さい部分で信用を失わないようにした方が良いと思います。
□手描きスケッチの重要性
納まりを検討する際には、CADを使った図面で検討をしていくことになりますが、手描きで部分的に検討図を描くことも結構効果的です。
普通に平面図や断面図を描くのであればCADでも素早く描けるので、そこは手描きでもCADでもどちらでも大丈夫だと思います。
しかしアイソメやパースなどを素早く作図するには、やはり手描きが非常に有効になるので、手描きのスケッチにぜひ挑戦してみて欲しいです。
上図はサイト用にCADでサッと作成していますが、こうした関係性を手描きで表現することによって、平面図や断面図よりもっと分かりやすく建物の納まりを説明することが出来ます。
しかも慣れてしまえばこうしたスケッチはかなりのスピードで作図する事が出来ますし、一度覚えてしまえばそうそう忘れないスキルでもあります。
慣れるまでは結構苦労することになるとは思いますが、要するに「慣れ」の問題なので何枚も描いていくうちに絶対に上手くなります。
どういう訳か、こうしたスケッチがあまり得意ではない方も結構いるのですが、ある程度までは何枚も何枚も描けば誰でも描けるようになります。
ある程度まで上手くなると、そこから先はセンスなどの問題が出てくるのだとは思いますが…
納まりの関係性を簡単に説明する程度のスケッチであれば、センスとかが必要になるくらいのレベルまでは全然必要ありません。
設計者でも施工者でも、このスキルは建築関係の仕事をしていく上でかなり有利になるスキルなので、積極的に覚えていきたいところです。
私はどちらかと言うとCADの方が得意なので、手描きが得意という方のスケッチには到底敵わない程度のスケッチしか描けません。
しかしそれでも打合せの際には重宝しているので、ある程度のレベルでも充分有効に活用出来るのがスケッチのスキルではないかと思います。