当サイトでは建築の納まりというテーマで色々な話をしていて、今まで書いてきた内容では床・壁・天井の基本的な納まりについて、ひとまずは説明を終えることが出来ました。
ちょっと説明としては長くなってしまったかも知れませんが、もしまだ読んでいない場合には、このカテゴリを読む前にそれぞれの項目について読んで頂けると嬉しいです。
建物を構成する部材というのは本当に色々な種類があって、特に柱や梁など「構造体」と呼ばれるものは必要不可欠な存在ということになります。
しかしそうした重要な要素である構造体でも、実際に建物を利用する方にとってはあまりなじみ深いものではない、という事になっています。
なぜかというと、そうした構造体というのは確かに建物にとって必要不可欠なものではありますが、あまり見た目が良いものではないという話があります。
そうした事情があるので、構造体というのは最終的には仕上材によって隠されてしまう事が多く、その結果としてあまり建物利用者の目に触れない事になってしまいます。
建物を利用する方が実際に目にするものとしては、床と壁と天井、そしてドアや窓などの建具になってきて、それらの見た目で建物を評価する傾向にあります。
目に見えてこない部分について評価をするのは難しいですから、見える部分で評価をするのはもちろん間違った事ではありません。
そうした考え方があるため、建物の形状やプランなどを計画する役割を持っている設計者としても、出来るだけ見映えの良い建物を造ろうと考えます。
そして建物を施工する役割を持っている施工者としても、出来るだけ利用する方の為になるような建物を造っていこうと考えます。
見映えが良い建物を造る為には、床・壁・天井を構成する仕上材についての知識や、具体的な納まりを知っておく必要があるはず。
このような考え方から、今までの説明では割と時間をかけて床と壁、そして天井の仕上材や納まりについての話をしてきました。
それぞれの部分で仕上材の特徴やグレード、そしてその納まり関係をを知ることによって、適切な仕上材の選定や見せ方の検討などが出来ます。
納まりが分かっているからこそ、コンクリートや鉄骨の下地など、後で修正するのが難しい部分についても適切に対応することが可能になる訳です。
しかし…
今まで説明してきた納まりについての知識で充分かというと、残念ながらそんな事はありません。
建築の知識は本当に奥が深いもので、知っておくべきものが本当にたくさんあります。
実際の納まり検討には、床・壁・天井それぞれの納まりが取り合ってくる部分がどうなるか、という部分が重要になってくるんです。
つまりはもう少し知識が必要になってくる、という事で、このカテゴリでは床と壁が取合ってくる部分の納まりについて色々と話をしていこうと思っています。
もちろん今まで説明してきた内容を踏まえて話をしていきます。
もしまだ床・壁・天井についての項目を読んでいないのなら、先に読んでから進んでいく方が効率が良いかと思います。
こうした話を聞いて、今までの長い説明を読んで頂いた方であれば「まだ足りないのか…」と思われるかも知れません。
しかし、取合い部分の納まりについて知る為には、それぞれの納まりをまずは知っておく必要があって、そこがまずはスタートになるんです。
今まで知ってきた納まりの知識を踏まえて、次にお互いの関係性がどうなっているかを確認していく、という順番で考えていくという感じです。
当たり前の話ですが、覚えてきた知識をさらに絡ませていくという感覚になるので、今まで覚えた内容が無駄になる訳ではありません。
それぞれの納まりが重なり合うところがどうなっているか、という話になるので、自然と細かい話になってしまうかも知れません。
ちょっと複雑で分かりにくい話になる場合も増えていくと思いますが、出来るだけ図面やスケッチなどを交えていくので、最後までお付き合いをお願いします。