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巾木の種類について考える

床と壁の取合い部分に取り付けられることになる「巾木」にはどのような用途があるのか、という話を前回は取り上げてみました。
意匠的には必要と不要の意見が分かれるところですが、建物の機能としてはやはり必要ではないかと当サイトでは考えています。

施工者側からの意見をここで書いてみると、床と壁の間には施工時に少しだけ隙間などが出来るので、そうした見映えが悪い部分を巾木でカバーしたいと考えます。
建物を実際に運用する段階になると、掃除機やモップなどの清掃器具が壁に直接当たってしまう事を避ける為にも有効に機能します。

こうした点を考えると、見た目が良いか悪いかの議論はあるかも知れませんが、巾木は必要な仕上材だと言うことになると思います。
もちろん最終的な判断は意匠設計者がするのですが…

見映えを気にして竣工時に巾木をなしにしたとしても、使い勝手が悪いと感じれば建物を運用する側は後付けで巾木を付けてしまう事が多いです。
そうなると巾木の後付け感がもろに出た状態の空間になってしまうので、それならば最初から色などをトータルで考えて巾木を設けた方が良いのではないかと思います。

今回はそんな巾木にはどんな種類があるのか、というあたりの話をしてみたいと思います。
まずは主な巾木の種類にはどのようなものがあるのか、という部分から。

・石巾木

・木製巾木

・タイル巾木

・床材立上げ

・金属製巾木

・ビニル巾木

・床材立上げ

という感じの選択肢が巾木にはあります。
材質や見た目は色々になりますが、巾木で重要になるのが「厚さがどの程度あって、壁に対してどのような関係になるのか」という点です。
もっと簡単に言うと「後で貼り付けるタイプかどうか」ですね。

詳しい納まりはそれぞれの項目を説明していく中で取り上げますが、巾木の納まりはかなり大雑把に分けてしまうと以下の二種類になります。

・壁を欠き込んで納める必要がある巾木

・壁の上から後で貼り付ける巾木

具体的にどういった納まりになるかというと、壁を欠き込む必要がある巾木というのは、下図のような関係性になっている状態を指します。

入巾木の納まり例

床面より下に伸ばすのか、それとも床よりも上で納めるのか、という検討も必要になってくるのですが、その前に壁面に対して巾木面をどうしたいかです。
石や木やタイルなど厚みのある巾木の場合に、壁面に合わせたいとか貼り代部分を隠したいなどの要望があると、少し巾木部分を欠き込んでそこに巾木を付ける納まりにします。

壁の下地が鉄筋コンクリートの場合には、あらかじめ壁コンクリートを欠き込んでおく必要が発生して、もちろん構造体を欠き込まないような配慮も必要に。
壁がLGS+石膏ボード納まりの場合には、石膏ボード1枚分を切り欠いてそこに巾木を入れることもあるので、施工の順番管理が複雑になりがち。

こうした調整が発生するので、厚みのある巾木材の場合には、まず巾木をどのように見せたいのかを明確にしておく事が重要になってきます。

次に壁の上から後で巾木を貼り付ける納まりですが、これは非常にシンプルな納まりになってきて、下図のような関係になってきます。

出巾木の納まり例

この場合は壁を切り欠いたりする必要がないので、納まりとしてはそれほど苦労をすることもなく、巾木の色や高さなどを考えるだけで済みます。
こうした納まりは、上図でも表現していますが、金属製巾木やビニル巾木など、厚みの少ない巾木材の場合に採用されやすい納まりになります。

この場合でも床と巾木のどちらを先に施工するかによって、巾木を床仕上面よりも下げておくかどうかが変わってくる事になります。
床仕上材の後で巾木を取り付ける納まりにするのが一般的ですが…

場合によっては巾木を先に付けた方が納まりが良い事もあるので、そのあたりは見え方や施工誤差などの要素を意識しながら決めていくしかありません。
そのあたりの話を含めて、次回からはそれぞれの巾木納まりについて、もう少しだけ具体的な内容で説明を進めていきたいと思います。

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