前回はアルミカットパネルの基本納まりを紹介しましたが、その中でパネルの目地巾をどう考えるかという話と、目地位置についての話が出ました。
目地巾については正直15mmでも12mmでも大きな違いはないと感じます…という意見は意匠設計者としてはNGで、やはり細かい部分にもこだわっていきたいところ。
今回はそんなアルミカットパネルの目地についてもう少し考えてみることにします。
目地巾をいくつに設定するかという話も重要ではありますが、それよりも重要なのが目地の位置をどこに計画していくか、という話だと思います。
パネルの目地をどこに入れるかによって見た目のイメージはかなり変わってくるので、そこはやはり色々な絡みを考慮して判断していく事になるはずです。
色々な絡みのひとつに天井が挙げられます。
今回は壁としてのアルミカットパネル納まりを紹介していますが、天井仕上材としてもアルミカットパネルは採用されることが結構あります。
壁も天井もアルミパネル、という見た目が良いかどうかはなかなか判断が難しいところではありますが、そういうパターンは少なくありません。
そうなると、壁の目地と天井の目地を綺麗に合わせていく、という事を計画したくなってくるはずで、それに合わせてアルミ建具の割付けを計画するなど色々な事が考えられます。
そうした目地位置の発想をしていくと、床の仕上材が何になるのかにもよりますが、例えば床仕上材が石であれば、床の石目地も含めて全ての目地を通したくなってくるかも知れません。
これはアルミカットパネルの目地ではありませんが、床石の目地と建具方立の位置を合わせて計画をしています。
上図のような関係を狙っていくのが、建築的には美しいとされる納まりになります。
何も調整しないと色々なラインがバラバラに見えてくることになるので、見た目を重視して出来るだけ綺麗に見せようという考えで調整を進めていく事になります。
こうした関係を目指すのは色々な絡みがあって大変ではあるのですが、そのあたりを建物全体でデザインしていくと最終的に美しい建物が出来上がります。
もちろんこれはあくまでも最終的な仕上調整の話であって、そもそもの話として、建物が求められている性能を満たしている事が大前提としてありますが。
ただ、建物を利用する方の意見をここで書いてしまうと、目地が通っているとか通っていないなどの話は、毎日建物を使っている方にはあまり興味がない話である場合が多いのですが…
だからと言って意匠設計者としては適当な位置に目地を計画する訳にもいかないので、やはり自分が美しいと思うデザインをしていくしかないですよね。
また、こうしたアルミカットパネルの壁は「意匠的に見せたい壁」になるので、目地の位置も重要ではありますが、その壁に何が取付くのかの調整も重要な要素になってきます。
具体的な話をすると、アルミカットパネル面にコンセントやスイッチなどを配置するか、それとも何も付けないかという話です。
もちろん何も配置しない方が見た目だけを考えれば良いのですが、コンセントがないと使い勝手が悪い場合もあるので、周囲の状況をきちんと見る必要があるでしょう。
あまりにも極端にスイッチやコンセントを付けない計画にすると、非常に遠い場所に照明のスイッチがついたりして使い勝手が悪くなってしまいます。
建物としての見た目も重要な要素ではありますが、使い勝手を無視しすぎると後で困る場合もあるので、バランスを取りながら調整していく必要があるという事です。
あまりにもコンセントなどを配置しない方針を貫くと、後で建物を利用する方が延長コードを露出で持ってくる場合もあって、余計に見苦しくなってしまう可能性も。
アルミカットパネルについては、目地の位置だけではなく、こうしたスイッチ類の有無なども意識しておくことで、見た目の良い壁を作ることが出来ます。
カットパネルについての話はこれで終わりにして、次回はアルミ曲げパネルの納まりについての説明に進んでいくことにします。