前回はアルミカットパネルの納まりについて紹介をしたついでに、目地の位置を検討する際のポイントも少し取り上げてみました。
目地位置を検討する際のポイントと言っても、意匠設計者が「こう見せたい」と思う位置が正解なので、ここで私があれこれ基本的な考え方について言ってもあまり意味はないですが…
それでも、どのような考え方をベースにして検討をしていくのか、というあたりの共通認識はそれ程変わる訳ではないので、まずはそのあたりの認識を知っておく方が良いと思います。
建物の各所納まりでは自分の好みを出しても良い、というか出した方が良いのですが、基本パターンを押さえておかないと自分の好みを出したくても難しい場合もあるので。
壁下地との関係などの基本的な納まりが決まっているのであれば、パネルのサイズが許す範囲で目地の位置を調整するのは特に大きな手間とかいう話ではないです。
ある程度の自由度がある目地の位置を調整していく際に、意匠的にもっとも美しく見えるところを狙うのは設計者としても施工者としてもごく自然なことだと思います。
どうせどこかに目地を入れなければいけないのなら、計画的に入れておきたい、という考え方がそこにはある訳です。
その為に膨大な手間がかかってしまうようであれば困りますが、そこまで手間がかかることでもありませんので、それならば目地位置を合わせた方が良いという考え方ですね。
あとはどこまで目地位置にこだわるのかという点と、どの時点で目地位置が決まるのかという時間的な問題だけなので、タイミングを見て決めていくだけ。
…と、ちょっと簡単に書いてしまいましたが、やるべき事がたくさんある状況の中で適切なタイミングで決めていくのはなかなか難しかったりするので、実際にはそう簡単ではありませんが。
まあそれでも時間をつくってやっていくしかありません。
さて、目地などを含めてアルミカットパネルについての話は終わりましたので、引き続きアルミパネルの話という事で、アルミ曲げパネルの納まりについて話を進めていきます。
まずはアルミ曲げパネルがどのようなものなのか、という話から。
アルミ曲げパネルというのは、読んだままの意味ではありますが、比較的薄いアルミの板を曲げて壁に見せるという考え方の仕上材です。
納まりとしては下図のような感じになっていて、アルミパネルを曲げてさらに曲げていき、少し面落ちさせた部分を下地にビス止めしていきます。
外壁としてアルミ曲げパネルが採用されている場合でも、止水ラインとしては壁下地の鉄筋コンクリートやECPで形成されることになります。
そういった意味ではアルミパネル自体に止水性能はありませんので、ビスを打った部分をシールなどで隠す必要性は特にありません。
しかし性能的な話ではなく、ビス頭が見えてしまう状況は意匠的に良くないという考え方があるので、面落ちさせた部分をシールで埋めて納めていくことが多いです。
ビス止め部分の上にシールをすることによって、ビスが見えずに目地だけが見えてくるような状況になる、という感じです。
アルミカットパネルの納まりでは目地として隙間で見えてきた部分が、アルミ曲げパネルの場合はシールになって見えてくることになります。
最終的に目地は見えてくる状態はカットパネルの場合と変わりはありませんので、目地の位置を気にしておく必要があるのは同じですね。
アルミ曲げパネルについての話はこれで終わりですが、次回は最後という事で、アルミ曲げパネルとアルミカットパネルの違いについて考えてみることにしましょう。