前回は金属パネル全般の話という事で、実際にはどのような材質のパネルがあるのか、それぞれのパネルにはどんな特徴があるのか、というあたりについて説明をしました。
金属パネルなので当然のことですが、アルミやステンレスなど、それぞれの金属が持っている特徴がそのまま出てくる傾向にあります。
それぞれが持っている材質の特徴を生かし、適切な場所に採用していくことによって、建物の仕上は様々なバリエーションを持つことになっていきます。
使いどころが難しい仕上材もあるかもしれませんが、そのあたりは意匠設計者の腕次第という事で、まずは様々な選択肢を持っておく方が良いと思います。
それぞれの金属パネルを適切な場所に採用する為には、それぞれの金属パネルについての詳しい納まりを知っておく必要があります。
という事で、今回からはそれぞれの金属パネルについての納まり詳細を、具体的な図面を交えて説明していくことにします。
まずはアルミパネルの納まりから取り上げることにしますが、アルミパネルにはカットパネルと曲げパネルがあるので、まずはカットパネルの納まりから。
内壁と外壁の納まりがありますが、基本的にアルミパネルには止水性能がないので、外壁の場合はきちんとした止水性能を持った外壁の表面にアルミパネルを取り付ける事になります。
最もシンプルで間違いがないのはコンクリートの壁にアルミパネルを固定する事ですが、これは建物の構造によって大きく変わってくると思います。
アルミカットパネルの特徴は上図のように、ある程度の厚みを持ったパネルのエッジを見せる事にあって、これだけで見た目は大きく違ってきます。
パネルが前面に出てくるような感じというか、目地が大きく面落ちしている関係になるので、それだけで見た目は良くなってくるものです。
アルパネル自体に外壁として止水ラインを形成する性能はないので、止水ラインとして鉄筋コンクリート壁やECPなどの壁下地が必要になります。
このあたりの話は金属パネル全てに共通して言えることなので、まずは壁下地で止水を完結させて、その表面を仕上げていくという流れですね。
鉄筋コンクリートの場合はコンクリートに直接下地を固定することが出来ますし、ECPの場合でも下地を固定してロッキングを吸収する製品があるので取付けは問題ありません。
見た目の話としては、目地部分の正面からビスで下地に固定していく関係になっているので、あまり目地の巾を小さくすることは出来ないという話があります。
出来れば上図のように15mm程度の目地を設けたいですが、最低でも12mm程度は必要になるので、どの程度の目地巾で見せたいかを検討しておく必要があります。
とは言っても、意匠設計者は基本的に目地巾を狭くしたいと考えるので、ミニマム寸法を狙っていくことになる場合が多いです。
もちろんミニマム寸法で製作・施工が出来ない訳ではないので、それで見た目が良くなるのであれば、ミニマムを狙う価値はあると思います。
次にアルミカットパネルのサイズについて。
アルミカットパネルはかなり大きなサイズまで製作することが出来るので、床から天井までのパネルでも目地を入れないで納めることは可能です。
運搬と取付けは結構大変になりますが、きちんと計画しておけば問題はありません。
上図の比較を見て頂けると雰囲気は伝わってくるかと思いますが、横に目地を入れる場合と入れない場合とでは見た目がかなり違ってきます。
もちろん場所にもよりますが、横目地を入れない方がシンプルに見える分だけ、最終的には美しく見える場合が多いです。
やはり目地が横方向にはなく縦方向だけに入っているという状況の方が、見た目としてはすっきりして見えるのでしょう。
こうした目地位置の検討も意匠的には非常に重要な要素になってくるので、単純に壁をアルミカットパネルにしましたという話ではなく、計画的な目地位置の検討が必要になります。
アルミカットパネルの目地位置についての話は色々絡みがあるので、次回にもう少し詳しく話をしていこうと思います。