今まで色々と鉄骨造(S造)の納まり関連の話を取り上げてきましたが、基本的な話としては大体取り上げたのではないかと思います。
もちろん取り上げたのは基本的な部分だけですから、まだまだ鉄骨関連で覚えておいた方が良いことは色々あるのは間違いありません。
ただ、覚えておいた方が良い事が色々あったとしても、知識はまず基本的な部分を広く覚えていった方が効率が良いので、そこから深く進むよりも次に進んだ方が良いと私は思っています。
建築関係の仕事とは言っても、それがどのような仕事なのかによって、必要な知識の深さは変わってくることになるので、そう簡単な話ではありませんが…
これは鉄骨造だけに限った話ではありませんが、特に鉄骨の納まりについての話は、溶接などの専門的な知識もあってなかなか難しいものです。
鉄骨造に関する知識をしっかりと持っている方であっても、時間的な制約があって完全な検討が出来ない状況に陥る可能性がある、というのが鉄骨造の大きな特徴でしょう。
今回はそうした鉄骨関連の取りまとめとして、建物の構造体が鉄骨造(S造)である場合に、どのようなメリットがあるのか、というあたりを紹介していこうと思います。
まずは鉄骨造を選定した場合のメリットを箇条書きしてみると、以下のような項目が挙げられます。
・精度の高い鉄骨が製作出来る
・現場での作業を減らすことが出来る
・現場での作業を減らすことにより施工が早くなる
・構造体のサイズをRCに較べて小さく出来る
ということで、細かい話は以前したのでやめておきますが、まずは工場で構造体としての鉄骨を製作してくるという部分が大きなメリットになります。
工場で様々な形状の鉄骨を製品を製作して、完成したものを現場に搬入して取り付けていく、という流れが鉄骨造では基本になります。
○精度の高い鉄骨が製作出来る
工場で製作することによって得られるメリットは色々ありますが、機械化することによって高い精度と欠陥のない製品を作りやすくなる、という点はやはり大きいです。
人の手でひとつひとつ丁寧に作りました、というような言葉にはかなりポジティブな響きが含まれる気がしますよね。
人が作る = 手間をかけているので好ましい
機械が作る = 自動化されていて無機質
というようなイメージがどうしてもあることは事実でしょう。
ファミリーレストランなどに行くと「手ごねハンバーグ」というようなメニューがあって、機械ではなく人の手でひとつひとつ丁寧にこねています、と書かれていたりします。
これは確かに手間をかけて丁寧な仕事をしている雰囲気が伝わってくるので、人の手で作業をするポジティブな面が出ていることは間違いありません。
しかしそれが鉄骨だったらどうなるかを考えてみると…
人の手で柱を1本ずつ丁寧に溶接しました、と言われても困惑するばかりで、あまり有り難みを感じないのは私だけではないはずです。
人の手で行うことには確かに価値がある部分も多いのですが、正確さという点において、人はどうしても機械に勝つことが出来ないんですよね。
機械は全く同じ作業をひたすら繰り返す事を厭わないし、何度同じ作業をしても飽きることがないので同じ完成度のものを作ることが出来ます。
この点において、人はどうしても機械に勝つことは出来ません。
機械で製品を製作する「工場」がたくさんあるのも、そうした機械の特徴を生かしているからこそではないかと思います。
一方で、人は機械のように同じ作業を繰り返すことよりも、試行錯誤をしながら少しずつ違うやり方に改善していくことの方が得意です。
これは機械には出来ないことで、大きな価値がある特徴だと言えます。
ただ、そうした試行錯誤などの考え方を一切排除して、まったく同じ事を繰り返す事が求められる作業をすると、集中力が低下してきてミスが発生する可能性が高まります。
こうした機械と人が持っている特徴を考えると、作業スピードと正確さと繰り返し作業を求められるような部分では、機械を活用することが出来る工場での製作は大きなメリットだと言えます。
工場では完成した製品を検査する体制なども整っていますから、それらを含めて、高い精度の製品が出来る可能性が高い、というのが工場製作の特徴でしょう。