今回は引き続き鉄骨造のメリットについて色々と考えていきます。
○現場での作業を減らすことが出来る
現場とは離れた場所にある工場で鉄骨を製作すると言うことは、つまり建物を色々な場所で造っていくことが出来るという事を意味しています。
建物を工事していく建設現場のスペースには限りがありますから、現場で必ずしもやる必要がない作業については、別の場所でやった方が有利であることは間違いありません。
現場でやる必要がない作業を工場でおこなう
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現場での作業が軽減される
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色々な工場で同時進行的に作業が可能
という感じで、かなり大雑把な表現にはなっていますが、工場で製品を製作する場合の基本的な考え方はこのようなものになります。
工場で製作してきた製品を取り付けるタイミングを整理するのは大変ではありますが、全ての作業を現場でやることを考えれば、作業手順の調整くらい何でもないはずです。
○現場での作業を減らすことにより施工が早くなる
これは先ほどの項目と少しだけかぶってくる内容ではありますが…
工場で製品を製作することによって現場での作業を減らす事が出来て、その結果として施工のスピードが早くなる方向に進む、というメリットが工場製作にはあります。
建物を建てようとしている敷地には限りがありますから、そのスペースを有効に使って施工を進めていく計画を立てていくことになり、それは施工者の役割になります。
そうした計画を検討していく中で、様々な作業を同時進行的に進める計画を立てても、場所が狭くて無理とか安全面がどうなのかなどの問題が発生することに。
そのあたりを考えていくと、やはり工場で製作出来るものは工場で製作していく、という考え方で計画をすすめた方が有利な場合も多い、という事が分かります。
現場で別の作業をしている間でも、工場では現場で取り付けることが出来るように、製品をきちんと作り込んでいる。
これはやはり大きな違いになってきます。
工事の効率を追求していった時には、こうして別の場所でも作業が進んでいる事のメリットがどれだけ大きなものなのかを感じることになると思います。
この施工のスピードこそが、鉄骨造(S造)を選定した際の大きなメリットのひとつであり、それが鉄骨造の大変さにもつながっていく訳ですが…
少なくとも鉄骨造のメリットを考えた際には、この施工スピードを挙げない訳にはいきません。
○構造体のサイズをRCに較べて小さく出来る
鉄骨造(S造)の建物では、構造体である鉄骨の剛性が高い為、鉄筋コンクリート造(RC造)に比べると、柱や梁のサイズを小さくすることが出来ます。
これは建物のプランや天井裏スペースの検討をしていく際に、非常に有利になる方向の要素ですから、メリットとしては大きなポイントだと言えます。
柱を小さくすることが出来れば、当たり前の話ではありますが、室内のプランを計画する際の制限が少なくなります。
梁のサイズが鉄筋コンクリート造の梁よりも小さくすることが出来るのであれば、天井裏のスペースを広くすることが出来ます。
ただ、今まで何度か書いてきましたが、天井裏のスペースを広くすることでメリットがあるのは設備関連だけなので、これ自体はそれ程嬉しいことではありません。
天井裏スペースを広く取ることよりも、出来るだけ階高を低くするという方向での検討が出来るようになる、という部分の方がメリットとしては大きいかも知れません。
トータルで考えてどうするかは設計者の判断にはなりますが、いずれにしても構造体を比較的小さくすることが出来るという事は大きなメリットだと言えます。
…という事で、鉄骨造(S造)のメリットについてはこんな感じです。
やはり工場で製品を製作するという点が鉄筋コンクリート造と大きく違う点で、それによって様々なメリットが出てくるということになります。
ただ、こうしたメリットがある反面デメリットも多少はあるので、次回はそのあたりのポイントについてまとめてみたいと思います。