前回紹介した鉄骨造の特徴でも結構頻繁に触れましたが、鉄骨という構造体は鉄筋コンクリートと違い現場で施工するのではなく工場で製作してくるものです。
ここが鉄骨造の最大の特徴であり、押さえておくべきポイントでもあります。
構造で製作された鉄骨はトレーラーに乗せて現場に運び込まれて、鉄骨としては出来上がったものを現場では組み立てるだけ、というのが鉄骨造の基本的な流れになります。
鉄骨を工場で製作することによって、均等な品質を持つ構造体を確実に造ることが出来て、なおかつ現場の施工スピードを早めることが出来る。
こうしたメリットが鉄骨造にはある訳で、その為の事前検討や準備が大変などの問題は、このメリットによって大きく報われる事になります。。
こうした鉄骨造の特徴がある中で、今回はそうした鉄骨造の建物がどのように進められるのか、もう少し具体的な手順を説明してみたいと思います。
建物を建てる全体の工程ではなく、鉄骨を建てるだけの手順を考えてみると、だいたい以下のような流れで鉄骨は計画・施工される事になります。
手順としてはかなり粗っぽい工程になっていますが、細かく書いていくとキリがないので、だいたいの大きな流れで押さえていきましょう。
・構造設計者が鉄骨造で設計し構造図を作成
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・施工者側で鉄骨を施工する専門業者を選定
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・構造図を元に専門業者が鉄骨製作図を作成
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・施工者が鉄骨製作図をチェックし設計者に提出
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・その際には他の仕上材を取り付ける為の部材を計画
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・設計者として鉄骨製作図をチェックし返却
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・何度か調整し最終的には設計者の承認を得る
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・承認された鉄骨製作図を元に鉄骨を工場で製作
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・その間に施工者は鉄骨が施工出来る状態まで工事を進める
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・製作された鉄骨を現場に搬入
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・鉄骨建方
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・精度を調整
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・鉄骨を最終的に固定(本締めと呼びます)
…と、こんな感じで設計から施工まで、鉄骨の検討から実際の製作、そして搬入や組み立てまで流れていくことになります。
割とシンプルに表現してしまいましたが、それぞれの項目はかなりの作業量になりますから、作図する方もチェックする方も、業務としては非常に大変だと思います。
こうして苦労をした分だけ、工場で製作したものを現場で組み立てるという流れが出来上がる訳で、だからこそ施工のスピードが早くすることが出来るんです。
事前にきっちり検討してその結果を展開する、というのは業務の効率化として非常に理にかなったやり方で、それを実現出来るのが鉄骨造ということです。
こうして事前の検討がきちんと出来ていれば、鉄骨造というのは非常に早く進んでいくものです。
しっかりと検討が出来なかった時の大変な状況も実際はあるのですが、まずは事前に全て検討を終えられるように頑張るしかありません。
時々近所で鉄骨造の建築現場があって通勤時などに毎日見ていたりしますが、鉄骨造は鉄骨を建て始めるとあっという間に骨組みが出来上がるよな…と思ったりします。
しかし実際には、恐らく鉄骨を建て始めるまでに多くの業務をこなした結果として、すぐに組み立てられる鉄骨が搬入されているという事なんです。
それを知らないと「鉄骨はすぐに出来るよな…」というイメージになってしまいがちですが、実際には鉄筋コンクリートと同じかそれ以上に苦労をしている訳です。
もちろん仕事ですから苦労をするのはある意味当然の事ではありますが、そうした苦労があって初めて鉄骨造の建物が成り立っている、ということをここではお伝えしておきたいと思います。