現場で型枠や鉄筋などの施工を進める鉄筋コンクリート造(RC造)に対して、鉄骨造(S造)では鉄骨を工場で製作してくるという部分が大きく違っています。
既に工場で製作して出来上がったものを現場に搬入して組み立てていく、という流れになりますから、鉄骨造の方が施工のスピードは速くなる傾向に。
現場で施工を進めるのと同じような作業を工場でも進める事が出来て、現場では出来上がった製品を組み立てるだけで済む。
工場で製品を製作するというのはこうしたメリットがありますから、それによって時間的なアドバンテージが出来るのは当然ではないかと思います。
建築関連の仕事をしている以上、建物の設計をする事も、設計の主旨にあわせて施工をする事も当然ビジネスということになります。
建築関係の仕事を選んでいるということは、建物を建てることに興味があるとか、建物に関わることが好きだという理由があるかも知れません。
この仕事が好きじゃないとちょっとこの業務は大変だよな、と思ってしまうようなシーンは、実際の仕事をしている中で結構あるので、ついそんな事を考えてしまう訳ですが…
それでもやはり仕事ですから、単純に建築が好きだからという話だけで継続できるはずもなく、ある程度の利益をこの仕事によって出さなければなりません。
仕事として建築関連の業務を進めていく中で、きちんと利益を出していくことを考えると、やはり無駄な業務を減らしていく方法を考えていくしかありません。
ビジネスとして利益を出していくにはどうすれば良いかを考えていくと、出来るだけ効率良く業務を進めていく、という割とシンプルな結論に至ります。
業務の効率化について色々と考えていくと、建築現場でやらなくても済む作業は工場でやってしまった方が良いのではないか、という考え方にたどり着くことになる訳です。
これが、鉄骨造における鉄骨にあたるものです。
工場で鉄骨を製作することによって現場での作業を減らすことにつながり、その結果施工スピードが早くなるという効果があります。
コスト的には有利にならない場合が多いですが、それでも工期が短くなるというのは設計者や施工者にとって大きなメリットであることは間違いありません。
建築現場を見たことがある方、さらには実際に建築現場の中に入った事がある方であれば分かると思いますが、建築現場の中は色々なものがあって結構煩雑になります。
高い部分で作業する必要があるので足場を組んだり、そこまで作業量が必要ない場合は高所作業車を利用したり作業台のようなものを利用したりと、色々なものが配意されています。
そうした中で作業をするのは結構大変で、様々な業種の作業が入ってくることになるので、そのあたりを調整しながら作業をしていく必要があるんです。
しかし工場では、その製品を製作する為のラインがきちんと整えられていて、現場とは違ってその業種以外の作業をしない環境になっています。
高いところでわざわざ作業する必要もなくて、製作している製品が高い品質を維持出来ろように、検査の体制も整っていることが一般的です。
そうした環境の違いがあるので、現場で施工をする場合に比べると、工場で製品を製作してくる方が品質的には優れている傾向にあります。
という事で…
・別の場所で作業することによる工期の短縮
・製品を製作する専門工場による高品質の製品
上記の二点が工場で製品を製作することの大きなメリットになります。
コスト的な話を考えると、製作した製品を運搬する費用などがあるので、決して安くなる方向には向かっていないのですが、それを補うくらいのメリットがあると言えます。
これは鉄骨だけの話ではありませんが、工場で製作したものを組み立てていく工法を「プレファブリケーション」もしくは「プレファブ工法」と呼びます。
prefabrication : プレファブ施工・プレファブ工法・地上組立・組立建築・組立工法
学校の改修工事などをする際に、まずは簡易的な校舎をつくってそこに教室を移動して、それから今まで使っていた校舎の改修をすることがあります。
そうした場合につくられる簡易的な校舎は「プレハブ」と呼ばれたりしますが、これも工場で製作してきた部材を組み立てて造る簡易的な建物なのでそう呼ばれます。
このように、工場で製品を製作して現地で組み立てるという考え方は広く浸透しているもので、そこには品質や工期などの大きなメリットが秘められているんです。
鉄骨造における鉄骨も、このようなメリットがありますので、まずはそれを意識しながら各所納まりの話に進んでいこうと思っています。