建物を建てるプロジェクトが始まってから建物が完成するまでのプロセスについては、「建物が完成するまでの流れ」という項目の中で概要をざっと説明してきました。
説明している内容が間違っていたり、あるいは情報として偏ったものにならないよう気を付けて書いたつもりですが…
内容をじっくりと確認したとしても、それはあくまでも書いた本人が確認しているだけですから、客観的な視線で確認するという意味ではちょっと難しい部分もあります。
情報は色々な方の意見を盛り込むことによって内容が深くなっていくものですから、もし私の説明に不備があったり追記が必要だと感じたら教えて頂けると嬉しいです。
今回の項目では、建物のプロジェクトがどのように進むかという話の中で、設計者がどのような役割を果たしていくのか、というあたりにフォーカスして説明をしていこうと考えています。
設計者の大まかな役割については既に説明をしていますから、ここではもう少し細かく、設計の種類は色々あるというような話を含めて取り上げていきます。
一般的なイメージでは、単純に「設計」という言葉を聞くと、なんだか建物をデザインするというような業務がまずは思い浮かぶかも知れません。
もちろんそれは間違いではなく、建物をどのように見せるのかという話は設計の中でもかなり重要な要素ですから、それを抜きにして建物の設計を語る訳にはいきません。
ただ、実際の設計業務というのは建物のデザインだけを考えていればOKという訳ではなく、もっと色々な部分について検討しながら設計を進めていくものなんです。
いくら優れたデザインの建物であったとしても、それ以外のスペックが水準に達していない場合、それは恐らく建物としてNGということになってしまいます。
デザイン以外に建物として求められるスペックというのは、大雑把に挙げていくと以下のような項目になって、どれも建物として欠かせない要素になっています。
・建物が自重に耐えうる構造である事
・建物が地震や台風に対して耐えられる構造である事
・建物の基本的な性能を満たしている事
・法的に問題ない建物である事
・設備的な性能も満たす建物である事
建物のデザインが非常に優れていたとしても、上記のような性能を満たしていない場合には、建物が成り立たないことになってしまいます。
これらの項目は建物の基本的な性能になっていて、デザインよりも優先されるべき内容である事は想像が付くのではないかと思います。
という事で、上記の項目と似たような話になってしまいますが、建物のデザイン以外に設計がどのような部分を検討しているか、それぞれの項目をピックアップしてみます。
□建築関連の設計
・構造設計
・意匠設計
□設備関係の設計
・電気設計
・空調設計
・衛生設計
ここでは分かりやすさを重視して、かなり大雑把な括りで分類しています。
例えば意匠という大きな括りの中でも、外構や植栽を専門で設計している方もいますし、電気設計の中でも照明を専門としている設計者もいます。
いわゆる「建築の設計」と言うと、ごく自然に意匠設計(この言葉が一般的かどうかはともかく)のことを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし実際には、上記のように色々な分野で専門的な設計者が必要になってくるし、実際に細かく専門を分けて設計をしていく事になります。
このあたりの話を踏まえて、次回からの説明ではそれぞれの設計者についてもう少しだけ細かく説明をしていきたいと思います。