前回は電気設計の業務について簡単に説明をしてみましたが、電気設備の設計をするのが電気設計になります、という話ではいまひとつ具体性に欠けます。
もう少し具体的な説明をすることによって、電気設計の業務をイメージしやすくするように、という事で今回は電気設備の説明を続けていきます。
最も分かりやすい電気設備として照明設備を前回は挙げましたが、もちろん電気設備=照明設備というような単純な話ではありません。
照明設備以外にも様々な電気設備があるので、全体をさらっと説明してみることにします。
学校や商業施設など、建物の種類によっては館内にいる人全員に何らかのお知らせをする必要があって、そうした場合には放送設備でスピーカーやマイクなどの計画していく必要があります。
どこにスピーカーを配置するかによって情報の伝わり方が違ってくるので、配置する部屋と配置しない部屋の区分も検討していく事が求められます。
建物内でテレビを視聴する為にはテレビ共聴設備によるテレビ端子が必要になりますし、建物内で電話を利用したい場合には、電話設備によるジャックを用意しておく必要もあります。
また、今ではネット接続環境がないと仕事にならないかと思いますが、そうした環境を整える為にはLAN設備を整えておく必要があります。
建物のセキュリティを守る為の監視カメラや不審者が侵入した際の警報など、最近は建物の防犯設備に力を入れる場合も多いです。
建物が全館停電になってしまった際にも最低限の照明が点灯するように、非常照明設備の計画をしておく必要もあります。
建物の規模や階数ある程度大きい場合には、落雷時に電気を地面に流す為の避雷針設備なども必要になり、それも電気設備に入ります。
前回も少し触れましたが、外部から電源を引き込んで建物全体に巡らせていき、コンセントを配置して様々な部分で電源を利用できるようにしておく事も求められます。
あとは非常時の発電機など、かなり大がかりな電気設備もあります。
こうした大きな機器の場合には、機器の搬入や更新が出来るかどうかなどの計画をしていく必要もあって、建築工事との調整をしながら電気設計でも検討をしていきます。
このように、電気設備という括りの中でも様々な種類の設備があって、電気設計者はすべての電気設備について計画を進めていく事になります。
電気が通っていないと建物はほとんどの機能を失ってしまうので、電気設備がどれだけ重要な役割を担っているかは何となくイメージ出来るのではないかと思います。
また、電気設備の計画以外で、建築工事でも電気というか電源が必要になる場面があり、その為に電気設備で電源を計画しておく場合もあります。
建物に万が一火災が発生した場合、火災が隣の区域に燃え移らないようにという目的で、建築工事ではありますがシャッターの設置が計画されます。
シャッターを上げ下げする動力として人の力、つまり手動で計画しても大丈夫なのですが、それではやはり大変なので電気の力を利用する場合が多いです。
そうなると、建物の計画段階で電源をシャッターに供給しておくことを考えておく事に。
また、建物の出入り口などで多く採用される自動ドアも建築工事ではありますが、これは間違いなく電気の力で動いています。
シャッターはどうしてもという場合は手動でも大丈夫なのですが、自動ドアを手動という訳にはいかないので、これは間違いなく電源の供給を計画しておく必要があります。
こうした色々な電気関係について統括して検討・調整していくのが電気設計の役割になります。
建築工事との調整も当然ありますけれど、衛生設備や空調設備との調整も諸々あり、様々な調整を繰り返しながら設計を進めていくという感じです。
電気設備が建築と関係してくる部分は色々ありますが、一番分かりやすい例を挙げると、部屋に入る扉のすぐ横に照明のスイッチを設置することかも知れません。
その隣には空調機のスイッチがあって…などの細かい調整をしていくのは施工者の役割になりますが、色々な設備の調整が必要である事は間違いありません。