「まとめ」という割には話が長くなっていますが、建物が計画段階から実際に施工されて完成し、その後の運用が開始されるまでの流れについて前回までで取り上げてみました。
今回はまとめの終わりという事で、建築関連の業務について少しだけ考えてみることにします。
どのような規模であっても、建物が計画段階から施工段階を経て完成に至るまでに、様々な企業がそのプロジェクトに参画することになります。
建築関係の仕事をしている方であれば、それぞれの仕事に合った何らかの形でそうしたプロジェクトに関わることになるはず。
もし今これを読んでいる方が、これから建築関連の仕事に就くことを考えているのであれば、どのような形で建物を造る流れに絡むのかを想像してみて頂ければと思います。
建築に関わる仕事には色々な種類があって、その中でどのような仕事を選んでいくのか、という話はきっと将来に大きく関わってくる事ですよね。
ただし、途中からは目指す事が難しい業種もあるので、もし学生の方であればある程度慎重に業種を選んだ方が将来の為になるかも知れません。
ただ、どのような職種を選んだとしても、完全に後悔する事のない決断というのは少ないというのが現実ですから、色々経験してみるのも良いですが…
先ほども書いたように、後からは選択しにくい業種もあったりして、どのような判断が正解なのかというのは難しいものがあります。
このあたりの判断については人によって色々な考え方があります。
なので「ぜひとも設計者を目指しましょう」とか「ゼネコンの業務が一番面白いです」などという無責任な事を言うことは出来ないんです。
私自身も今現在の仕事が正解だったのかという確信がある訳ではないですし、それは私以外の方でも似たようなものではないかと思います。
自分がなりたい仕事というのは人によって違いますし、自分の要望している仕事がかならずしも自分に向いている訳ではないという困った現実もありますから。
ここで建築に関わる仕事をざっと取り上げてみると…
何もない敷地の状態から、施主の要望を反映させつつ建物の概要を煮詰めていくという設計者の仕事に興味を持つ方も多いのではないかと思います。
あるいは、設計図という基本指針を元にして実際に建物を造っていく施工者であるゼネコンの仕事に面白みを感じる方もいるかも知れません。
それ以外にも建物に関わる仕事は本当にたくさんあって、実際に自分の体を動かして施工をする仕事の方に興味が向く方もいるでしょう。
こうした実際の施工には工事の種類分だけ職業があって、型枠を加工する大工さんや鉄筋を組み立てる鉄筋屋さん、金物を取り付ける金物屋さんなどなど…
建物を実際に施工していく為には本当に様々な職業が必要になって、それぞれが建物を完成させる為にプロとしての仕事を進めていく事になります。
このように実際の建物の施工を進める職人さんという仕事が、建築関連の中で最も割合が多い仕事ではないかと思います。
ちょっと変わったところでは、設計図の情報をさらに細かくしていく施工図という仕事に興味を持たれる方もいるかも知れません。
これはその人の性格によると思いますが、設計図から施工図を作成して、図面としてきっちりと纏めていく仕事はかなり特殊なスキルが求められる仕事ではないかと思います。
こうした様々な建築関連の業務があって、その中から自分で興味がある分野の仕事を調べるとか実際に働いてみるなどの選択をしていく訳です。
企業の規模にもよりますが、上記で説明してきた中では設計者である設計事務所と施工者であるゼネコンとが、やや入り込みにくい企業ではないかと思います。
なので、例えば意匠設計でどうしても大きなプロジェクトに携わりたい場合には、建築系の大学を出たあとで就職活動の目的を意匠設計にするなどのやり方をした方が良いでしょう。
しかし例えば他の業種で今まで全然別の仕事をしてきた方が、45歳から意匠設計を仕事にしたいという場合は、一気に実現が難しくなってきます。
そのあたりも少し考えて、建築関係の仕事でどのような職種に就くのかを意識していくと、今から何をすべきかが見えてくるのではないかと思います。