基本設計からスタートして実施設計段階に進んでいくという段階を経て、色々な調整をしながら設計図は完成します。
しかし、もちろん設計図が出来上がったからと言って建物が完成する訳ではなくて、建物の設計がようやく一段落という段階なんです。
設計図はあくまでも紙の中で建物を表現しているだけですから、言ってみればまだ建物は計画段階に過ぎず、その計画を実際のもににしていく必要がある訳です。
建物の計画を実際のものにするには、設計図に書かれている内容に沿って実際に建物を造っていく「施工」という手順が必要になってきます。
これは当たり前の話ですが、まずはしっかりとした計画があって、その次に計画を実際に実行していく段階があって、はじめて建物は完成することに。
計画段階というのはつまり設計業務になる訳で、その業務を設計者が進めた結果として設計図が完成した訳ですから、その次のステップに進んでいく必要があります。
そうした施工を担当するのは、設計者とはまた別の企業になってくる場合がほとんどです。
建物の設計をする企業は大抵の場合、建物を設計する業務のスペシャリストであり、実際に施工を進める業務をすることはあまりないものですから。
この事実は、建物を設計するという業務と実際に施工するという業務がどれくらい違うものなのかを分かりやすく表している気がします。
図面上で検討することと、その内容を形にしていくこととでは、やはり大きな違いがあるという事なのでしょう。
逆に施工を仕事にしているゼネコンが設計部を擁している場合は多いので、設計と施工が同じ企業という場合もあるのですが…
そうした場合であっても、設計部と建築部などに部門が分かれていくのは当然で、それぞれの部署で設計と施工を専門にやっていく事になります。
これはゼネコンの規模が大きいから可能なのであって、また、施工業務と設計業務を両方やることにもメリットがあるのだと思います。
ただ、やはり設計と施工を両方こなすにはある程度以上の企業規模が必要になってくることは間違いありません。
設計業務を請け負った企業がそのまま施工も請け負うかどうかはともかくとして、設計業務が完了した段階で、施工者には設計図が発行されることになります。
施工者にとって設計図は工事を進めるための指針になり、全て設計図に書かれている内容を遵守して建物を造っていく。
これが建物を造っていく上での基本ルールになります。
もちろん設計者は施工のプロではありませんので、施工者として「こうした方が良いのでは?」というプロからの提案なども結構あったりします。
そうした提案を上手にやっていくことが施工者に求められるスキルになりますけど、これは施工者の役割でもう少し詳しく説明していくことにして…
実施設計までの業務が完了して、施工者に設計図を発行した設計者は、それで建物を設計する業務が完了という訳では全然ありません。
建物が施工段階に進んでいく中で、設計者はどのような業務を進めていく必要があるのかと言うと…
これは考えてみると当たり前の話ではありますが、施工者が建物を施工していく段階で、その施工が設計図に沿っているかどうかを確認していく。
また、施工者が予定している工事の工程が予定通りに進んでいて、竣工引き渡しまでが順調に進みそうなのかを確認していく。
施工段階で設計者はこのような業務を担当することになります。
こうした業務を「工事監理」と呼びます。