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設計段階での業務

建物を建てようと計画していく段階から実際に施工していく段階までには、様々な業種があってそれぞれ専門の企業が参画することになる。
前回はそのような話をまずは取り上げてみました。
専門性が高い業務を手広くこなしていくのは、企業としてはリスクが高いはずで、それよりもひとつの専門分野を深く掘り下げる方が良い結果になるのでしょう。

建物が完成するまでの手順では序盤に位置する「設計」も、そうした専門的な業務のひとつになるので、設計を専門にこなす企業がこれを担当することになります。
そうした設計が実際にはどのような流れで進んでいくのか、というあたりの話を今回は簡単に説明していきたいと思います。

当たり前の話ですが、これから建てようとしている建物に与えられる条件、例えば建物の用途や敷地の広さなどはその建物によって毎回違ってくるものです。
だからそうした条件について説明するのではなく、どんな条件の建物でもやることになる作業というあたりに焦点をあてて書いていくつもりです。

設計

設計業務に求められる仕事は色々ありますけれど、大雑把に書いてしまうと以下のような条件を満たした建物を計画し、それを図面という道具に落とし込むことになります。

・与えられた敷地の条件を法的に満たしている事

・建物の用途や使い勝手について施主の要望を満たしている事

・デザインを考慮した建物である事

三番目に挙げた「デザイン」については、設計者のこだわりが実際に建物を利用する方に伝わらないという残念な状況があったりします。
なので、必ずしもお客さんの要望にマッチしているとは言い切れない可能性もありますけれども…そこはやはり設計者として最も重要視する部分になるかと思います。

意匠的なこだわりが少ない建物というのは、実際に施工をする側にとっては変に悩んだり難しい施工をしなくて済むので助かる部分もあります。
しかし、施工する側もただ単に楽がしたいというだけではなく「良い建物を造りたい」と思っているので、建物の見映えがどうでも良いということにはなりません。

施工しやすい建物というのはつまり、施工精度を充分に考慮した余裕のある形状ということになる訳ですけど、施工精度を考えすぎると、デザインがあまり良くないものになってしまいます。
施工性とデザインというのはなかなか両立しないものなんです。
とは言っても、やはり建物のメイン部分などは力を入れた設計にして欲しい! という思いは施工者側にも当然あるんです。

だけど施工の事を考えないデザインは結果としてあまり優れたデザインにはなり得ないというのもあって…なかなか難しいものです。
こうした設計と施工の立場の違いを踏まえて、それぞれの意見を盛り込んでなおかつ優れたデザインの建物を造る、というのが設計者としての腕の見せ所ではないかと思います。

デザイン以外の項目、法的な制約を問題なくクリアしているという事と、使い勝手的な部分でお客さんの要望を満たしているという事については、当たり前の事ではありますけど実際にはなかなか難しい部分もあります。

まあ仕事ですから難しいのは当たり前なんですけど…
そうした諸問題をクリアしながらコスト的にも使い勝手的にもお客さんが満足する建物を設計する、というのが設計者の最も重要な仕事ということになります。

もし今これを読んでいる方で、これから設計者を目指そうとしている方がいたら、やることは本当にたくさんありますから覚悟をした方が良いと思います。
ただ、そうした大変さに見合ったやりがいも当然ありますから、楽しい仕事でもある、ということも同時に伝えておきたいと思っています。

「やりがい」というのは漠然とした表現で、それを免罪符にして大変な仕事を強いる会社も恐らくあって、あまり使いたくない表現ではありますけど…
だからと言って誰でも出来るような楽な仕事の中に面白みは少ないというのも事実です。

このあたりのバランスをどうとっていくのか、というのは当サイトで取り扱えるような簡単なものではないのでここでは省略します。
ただ、建物を建てていく流れの中で設計者が担当する業務というのは、非常にやりがいのある面白い仕事ではないかと個人的には思っています。

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