施工を進める為の図面である施工図は、設計者の思いを盛り込んだ設計図の意図を読み取っていき、それを実際に施工出来るような現実的な図面にしていくという役割を持っています。
計画 → 設計図 → 施工図 → 建物の完成
ものすごく簡単に書いてしまうと、上記のような流れで計画が現実のものになっていく訳ですが、もちろんそれぞれの「→」の中には膨大な労力が必要になってきます。
膨大な労力というのがが具体的にはどのようなものなのか、というあたりの話は今後詳しく解説していければと考えています。
詳しい説明は後にしておきますが、今回はこうした流れによって建物の施工が進められて、最終的には竣工まで進んでいくという流れだけを押さえておきましょう。
建築のプロジェクトを設計段階・施工段階・施工段階という大雑把なくくりで表現してきましたが、もちろんそれぞれの項目はもっと細かい段階に分けることが出来ます。
それらの項目について細かく説明するのは後ほどにしておきますが、今回は概要をまず知ってもらおうという狙いがありますから、説明としてはこれで充分ではないかと考えています。
設計者と施工者という異なる立場で建築に携わっている為、時にはそれぞれ考え方の違いがある為、意見をぶつけ合うこともあるでしょう。
しかし設計者も施工者も「建物の竣工」を目指していることに違いはありません。
様々な打合せをおこない、納まりの検討や各所の調整を進め、時には納まりで失敗をしてどのようにそれをフォローすべきか検討をして…
など仕事を繰り返してようやく建物は竣工を迎えることになりますが、何もないところから建物を生み出していき、その建物が完成するというのはやはり素晴らしいものです。
竣工の時期というのはやはり仕事の中で特別な期間ではないかと思います。
大きなプロジェクトであれば、建物の開業がニュースになったりする場合もあったりして、全力で業務を進めてきた側からするとなかなか感慨深いものがあります。
建築関連の仕事は「地図に残る仕事」と呼ばれたりしますけど、建物が竣工を迎えるとそうした言葉を実感することになるのではないかと思います。
建物を建てようと考えて実際にお金を出すのが施主で、その業務を設計と施工に分けてそれぞれの企業に発注することになります。
設計者と施工者はそれぞれの分野のスペシャリストとして、建物の竣工を目指してあらゆる知識と経験を駆使して業務を遂行していく訳です。
その結果として優れたデザインと使い勝手を満たした建物が出来上がる事になるのですが、やはりこの瞬間は格別なものがあります。
規模が大きい建物のプロジェクトであれば、恐らく2年とか3年というスパンでずっとそのプロジェクトに関わってきているはず。
その間はずっとその建物の事を考えて仕事をしている訳ですから、実際に建物が完成した姿を見ると、やはり素直に感動します。
これが建築の仕事に関わる醍醐味ではないでしょうか。
工期の話やお金の調整なども業務としてはありますから、なかなか純粋に建物の形状や納まりの事だけを考えていく訳にはいかない、という現実もあります…
それでもひとつの建物の為に全身全霊で挑んでいき、それが出来上がるということは、やはり素晴らしい事ではないかと思います。
ただ、建物が完成したからと言ってすぐにそのまま建物の運用が始まる訳ではありません。
そのあたりの話は次回に引き続き書いていくことにします。