さて、建物が計画段階から少しずつ進んでいって、最終的に施工段階を経て完成に至る流れについて今まで色々と説明をしてきましたが…
ちょっと大雑把ではありますが、何となく建物が完成したあたりの話まで説明することが出来たのではないかと思います。
建物が完成した段階で作成する竣工図についても軽く触れましたが…
竣工図は建物を利用していく中で出てくる改修工事などをする際に、非常に重要な資料になっていくので、施工者は自分たちの為にもしっかりとまとめておきたいところです。
何らかの改修工事が発生した際には、竣工時の資料をまずは調べることになるのですが、その際に竣工図が丁寧にまとめられていると非常に助かるものです。
もちろん逆のパターンとして、竣工図が現状と全然整合されていないという場合もあって、そうなると改修工事はかなり大変な事になります。
竣工図や残された施工図を元にして改修工事の計画をする訳ですけど、それが現状と合っていない場合には、まず現地実測して現状を図面化する作業からスタートです。
言うまでもなくこれはかなり大変な作業になってしまいます。
建物は計画段階や工事期間を経て竣工を迎えた後、色々な人に利用されながら少しずつ更新されていくことになります。
そうした更新の事も意識して、きちんと現状を図面に残しておくことが重要です。
例えば防火シャッターなど火災時にしか可動しないようなものであっても、いざという時に動かないと人命に関わり大変な事になりますから、どうしても定期的なメンテナンスが必要です。
また、外壁の吹付けや屋上の防水など、経年によってどうしても劣化してしまうもので、かつ性能が劣化すると漏水するなど大きな問題になる部分もあります。
そうした部分についてはある程度のコストと手間をかけていく必要があります。
屋上の防水などであれば、5年や10年に1回などの区切りで改修工事による更新をすることによって、結果として建物の寿命は延びていく訳です。
建物というのは寿命が長い分だけ、定期的なメンテナンスをすることに対して、どうしても面倒だという思いが出てしまいがちです。
別に今やらなくてもしばらくは問題ないはず、みたいな気持ちを抱いてしまうのは無理もないことで、これは何となく自分の身体と人間ドックの関係によく似ているような気がします。
ただ、別に今やらなくても良いということで放置してしまい、漏水が発生してから対応するというのはやはりお勧め出来ません。
病気になった後で「こんな事なら人間ドックに行っておけば…」と思うのと一緒で、建物のメンテナンスも早めの対応が重要ではないかと思います。
屋上の防水が劣化してきた結果として水が建物の中に入ってしまうという事はつまり、家具や内装仕上などが濡れてしまいダメになってしまうことを意味しています。
机くらいであれば再度購入すれば良い話ではありますが、もちろんそれでも余計なコストがかかる事に違いはありません。
また、例えば病院の高額医療機器などが漏水によって壊れた場合、机などと比べて桁が3個とか4個とか違う金額の損害が発生することに。
こうなってしまった場合、とんでもない額の損害になってしまい「今すぐやらなくても大丈夫だと思いました」とは言えない状況になってしまいます。
病院の高額医療機器については、金額があまりにも高額になりますから、漏水による故障はなんとしても避けたいところです。
そう言った意味で、そもそも屋上の直下に設置しないように基本設計では計画していきますが…
それでも時にはやむを得ない場合もありますから注意が必要です。
建物の竣工引き渡しが完了したとしても、定期的なメンテナンスが建物には必要になるので、その為にもきちんと竣工図をまとめておく必要がある、という話でした。