仕上材の納まりを検討していく中で、仕上材の勝ち負けを意識する事と、勝たせた仕上材の小口が見えてくる場合を考える事の重要性について色々話をしてきました。
前回の例で取り上げたのはタイルやアルポリックやセラールなどの仕上材でしたが、タイルの出隅についてはもう少し細かく検討しておきたい部分になります。
タイルは小口が綺麗に仕上がっている製品がある一方で、小口が仕上がっていない製品も結構あるので、出隅はタイルを斜めにカットして接着して出隅タイルにする場合も多いです。
下図のような出隅役物タイルを採用することによって、タイルの小口を見せない納まりにする事が出来るので、見た目としては問題なくなると思います。
ただ、上図のような納まりは厚みがそれ程ないタイルでは出来ないので、そうした製品は小口が綺麗に仕上がっているタイルが用意されていたりします。
どちらのパターンになるかは製品によって違ってくるので、タイルの仕様が決まった段階で、出隅の関係を明確にしておく事をお勧めします。
タイルの出隅がどのようになっているかによって、タイル割付の考え方が変わってくることになるはずなので、そこを押さえておかないと割付が決まってこないんですよね。
このように、採用する製品によって納まりが決まってくる、というパターンはタイルだけではなく色々な部分で出てくるので、意識しておく必要があります。
先ほども少し例に出したメラミン化粧板の製品名であるセラールなどでも、色や柄によって最大の板サイズが変わってきます。
全然違うサイズになる訳ではないのですが、910mm×1820mmという3×6(さぶろく)板しか選択出来ない製品と、3×8板や3×9板や4×8板を選択出来る製品があるんです。
3×8板になると910mm×2420mmになるので、場合によっては天井までを1枚の板で施工する事が出来るかも知れません。
3×9板では長さが2730mmになり、間違いなく天井までを1枚の板にする事が出来て、壁に横目地を入れる必要がなくなります。
セラールを3×6板で貼って横目地が入る場合と、3×8板で貼って横目地が入らない場合のイメージは結構違うものです。
壁仕上材には出来るだけ横目地を入れない方がスッキリと見えるはずなので、コストや柄の問題はありますがセラールとしては3×8板がある色や柄の方が良いという事に。
そのあたりも考慮しながら設計者は色を決めるはずですが、納まりを検討する際にはなかなか色が決まっていないはずなので、そこがちょっと困るかも知れません。
ある程度早い段階で決まれば良いのですが、検討や決定事項の優先順位を考えると、なかなかそう思ったようにはいかない可能性が高いです。
そうなると、ある程度想定して納まりの検討を進めるしかありません。
とは言っても、今回例に出したセラールの割付という話であれば、恐らく色の決定を待っても特に大きな問題にはならないとは思いますが…
こうした「仕上材によってサイズが違ってくる」という製品も仕上材の中にはあるので、そのあたりを意識しながら納まりを検討していく必要があります。
ただ、場合によっては納まりに大きな影響を与える場合も。
例えば鉄筋コンクリート造の建物で、外壁にタイルを採用する場合などでは、タイルの仕様によって納まりが変わってくることになります。
そうなるとタイル割付に合わせた開口の位置なども変わってくるので、そうした場合には設計者もある程度そのあたりを意識して、出来るだけ早めに仕上材を決める必要があるでしょう。
そのあたりの話は設計者よりも施工者の方が敏感に反応することになるはず。
仕上材の決定が納まりに大きな影響を与えることを、まずは施工者からきちんと設計者に伝達しておく事で、話がスムーズに進むことになると思います。