構造体と仕上材や下地材との関係、設備との関係などの納まりを検討しておかないと、現実としてどのような事になるのか。
一度造ったものを壊すなどちょっと残念な状況になってしまうよう内容でしたが、前回はそのあたりについて考えてみました。
結局は現物を見て「ダメだったか…」となって調整するのであれば、事前に問題があるかどうかを確認しておいた方がスムーズに進む。
これが図面上で事前に検討を進める大きな理由です。
結局は調整することになるのなら、施工前の方がコスト的にも有利だし、選択肢も多いので建物にとっては良い事ばかりです。
そう言った意味では、最初に手間がかかってしまうというデメリットはありますが、事前に各所の検討をしておくのは非常に重要な作業になります。
図面上で納まりを検討するのは、実際に建物を作ってしまう前にそれぞれの関係性を確認をしておくという目的があります。
図面上ではなく現物で納まっていない事を確認すると、後でそれを壊したり造り直したりなどの手間とコストがかかり大変、というのがその理由です。
構造体と仕上との関係や仕上と設備との関係など、納まっていない状態になっている部分では、現物を見るとそれが一目瞭然で分かります。
しかし図面だと注意深く関係を調べていかないと、問題があるかどうかが分からなかったりする場合もあって、確認に手間がかかる場合が多いです。
現物は立体で見えてくるのに対して、図面はあくまでも平面情報でしかない。
この違いは非常に大きいので、図面での検討では気が付きにくい部分があって、それが実際には全然納まっていないという状態になる場合も結構あります。
平面図はあくまでも二次元情報でしかなくて、断面図を作図したとしてもそこに奥行きがある訳ではないので、やはり二次元情報なんですよね…
そうなると平面図と断面図を見比べつつ、頭の中で三次元情報を想像していく必要があるという事で、これがなかなか大変だったりします。
想像力を使って頭の中で納まりを組み立てていく。
これは実際にやってみると大変で、慣れないとなかなか上手くいかないし、あまりそうした作業に向いていない方だとずっと出来ない場合もあります。
これは頭が良いとか悪いとか、努力が足りないとかの話ではなく、単純にそうした作業に向いているかどうかという話なんですよね。
苦手な方がこうした仕事をするのは厳しいかも知れません。
ある程度はスケッチを併用して訓練していく事で何とかなりますが、苦手なものが少し大丈夫になるというニュアンスで、得意になるという話ではないですから。
三次元CADでの検討という選択肢も場合によっては考えられますが、建物全部の情報を三次元化するのは本当に大変で時間とお金がかかります。
しかも、いざ三次元CADに建物の情報を入力してみると、きちんと建物の関係を把握出来ていないと入力が難しいという事が分かります。
下図のような感じで、説明用のスケッチ的な使い方であれば重宝しますけどね。
でもこの程度であれば手描きでも全然問題ないので、わざわざ三次元CADでこうしたスケッチを描く機会はそれほど多くありません。
適当に入力した三次元CADでは検討することなど出来ないので、結局はそれぞれの関係性をきちんと把握した上で入力していく事に。
それならば部分的に抜き出して平面図に対して断面図を作成した方が良いのではないか、という考え方になったりします。
そんな状況なので、あまり三次元CADを活用する機会はなく、平面図と断面図とで検討をしていく事になる場合がほとんどだと思います。
現物を見て確認するよりも大変な作業にはなりますが、事前に確認する事に意味があるので、できる限り図面上で検討をしていく事をお勧めします。