前回はアイソメを作図する為の準備として、基準となる角度など、基本的な作図の考え方などを簡単に説明してみました。
実際には毎回このような面倒な下準備をする訳ではなく、慣れてきたらいきなりスケッチを開始しても全然大丈夫になります。
ただ、まずは基本的な考え方を整理しておかないと、毎回「どうだったかな…」みたいな事になるので、最初に基本を掴んでおいた方が良いと思います。
なので前回はアイソメの準備というか基本的な部分について説明をして、今回は簡単ではありますが具体的な手順についての話をしていこうと考えています。
さて、前回は基準の角度を決めた段階まで作業は進めたので、今回はその角度を守って実際の壁を表現してみることにしましょう。
まずは壁の出隅と床の取り合い部分を表現してみると、まずは壁の出隅ライン作図することにして、90°の線をを垂直に引いてみます。
これでシンプルに壁の出隅が表現出来ました…と言っても線が1本だけでは何が表現されているかは全然分かりません。
なので、今度は床と壁の取り合い部分の入隅ラインを引いてみることにしましょう。
壁と床の入隅は、壁の出隅が床にぶつかったところから始まるので、先ほど引いた90°の線の一番下から、斜めのラインを両側に引いてみます。
30°と150°の組み合わせが標準になりますが、場合によっては15°と165°の組み合わせの方が見やすい、という話を前回しました。
どちらの表現が見やすいかを比較する意味もあるので、ここでは15°と165°の斜めラインパターンも作成してみましょう。
15°の違いで結構見え方が変わる、といいうのが何となく分かってくると思います。
この三本の線で壁出隅の足元が表現された訳ですけど、これではいまひとつ分かりにくいので、巾木のラインも表現してみることにしましょう。
巾木は床と壁の入隅ラインと平行になっているので、入隅ラインと平行で、なおかつ少し床から上がった位置に入れる感じになります。
これで何となく床と巾木と壁のラインが見えてきたのではないかと思います。
ただ、巾木の厚みがここでは表現されていないので、少し細かいですけど巾木の厚みを表現していくと、先ほど引いたラインと平行に厚みの線を入れていきます。
これで何となく出巾木の表現になりました。
あとはちょっと表現が細かくなりますが、巾木の出隅と壁の出隅ラインを微調整して、巾木が出ているような表現に修正していきます。
細かいのでちょっと拡大図で説明すると、線はこんな関係になります。
巾木の材質が何なのか、というのは今回特に考えていませんが、巾木天端の見え掛かりラインが狭いので、上図ではちょっと薄い巾木の表現になっていますよね。
これを入巾木の表現にしたい場合には、巾木の天端は見えて来ない事になるので、石膏ボードの出隅が逆に見えてくるような関係に。
逆に出巾木の出寸法を大きくする場合には、巾木天端の線を広くとれば、厚みのある巾木の表現になっていきます。
アイソメでは平行な線同士の距離によって厚みの表現をしていく、という事をここでは知っておいて頂ければと思います。
こうして色々な関係を三方向の線で表現していくのがアイソメになります。
線だけではちょっと分かりにくいと感じたら、色鉛筆などで色を付けてみると結構分かりやすくなったりするので、試してみることをお勧めします。
いまひとつ思った通りに作図出来なかったアイソメでも、ちょっと色を付けてみると結構分かりやすい図面になったりする場合もあります。
一手間かけるだけで見やすくなるのなら間違いなく試してみる価値はあるはずなので、床と壁と巾木の色を変えて表現してみるなどやってみると良いです。
色を付けるとこんな感じ。
本当は線だけで表現したいところですが、文字を入れるとさらに分かりやすくなるので、せっかくだから入れておいた方が良いと思います。