建物の納まりを検討していく、あるいは建築と設備などで色々な調整していく作業は、建物のあらゆる部分で必要になってくるものです。
そうした検討や調整をしなかった場合でも、最終的には何とか納まってしまう、というのが今までの経験からは言えるのですが…
だからと言って検討をしなくても良いです、という話ではもちろんないです。
検討をしていない部分が思惑通り綺麗に納まるという事は基本的にはなくて、出来るだけ事前に検討をしておいた方が、最終的には綺麗に納まります。
これは間違いのない事実ですから、出来るだけ色々な部分の検討を進めておく方が、建物の完成度という面から見ても良いと思います。
ただ、限られた時間であったり、限られた人員だったりなどの条件がある中で、あらゆる部分の納まりを検討しなければならない、という状況も時にはあります。
そうした状況の中では、検討していく部分に優先順位をつけて、優先度の高い部分から検討をしていくというような対応も必要になってきます。
優先順位の高い部分というのは幾つかありますが、建物の中で最も優先して検討をしておきたいのは、やはり外壁まわりという事になるでしょう。
意匠的に力を入れておきたい部分も、納り検討の優先順位としては高めになる事は間違いありませんが、やはり外壁まわりが最優先になってきます。
外壁まわりの納まり検討を最優先しなければならない理由は、外壁の納まりが上手くいかないと建物の中に水が入ってくる可能性があるからです。
どんなに意匠的に気を遣った部屋で、それが非常に美しくてなおかつ使い勝手も良かったとしても、外から水が入ってくるようでは全然意味がありません。
見た目として美しいなどの話は、建物に求められる基本的な性能のひとつである「内部に水が入ってこない」という条件を満たした後の話なんです。
その前提条件を満たしていない中で見た目を意識しても仕方がないので、まずは外壁まわりの納まりをきちんと検討しておく事が最優先になります。
もちろんこうした最優先の項目だけを検討すれば良い訳ではなく、まずはこうした前提条件を満たす事を優先して、その後は見た目を意識した検討も必要になってきますが…
時間の関係で検討する内容を絞っていく必要がある場合であっても、外壁まわりの検討だけは省略することが出来ないという事を意識しておきましょう。
ちょっと極端な意見を書いてしまうと、建物の納まりが少々微妙な部分があっても、建物を利用する方がそれを気にして「納まりが変だな」となることはほとんどありません。
意匠的に細かい部分にまで気を遣った部分でも「これはしっかりと納めたな…」という評価になる事は少ないのですが、その逆もそれほど多くはないという事です。
しかし、建物の中に雨水が入ってくる状態になると、それは見た目とは全然違う話になるので、当然「何だこの建物は」という事になってしまいます。
建物が完成してから雨漏りの原因を探って、雨漏りしないような対応をしていくのは、実際にやってみると分かるのですが非常に大変です。
どこかから水が漏れている事は分かるけれど、実際にはどこから水が入ってくるかが分からない、という状況もかなり多いものです。
まずは原因を特定するまでの手間が膨大にかかってしまい、それを是正するのも非常に大変な作業になる場合が多い、というのが雨漏りの対応になります。
一方で、外壁まわり以外の部分で「見た目が少しおかしい」というクレームがあった場合でも、それを修正するのは結構簡単に出来るものです。
場所が明確になっていて目に見える部分を修正する手間と、場所も分からず水が入ってくる小さな穴をなくす手間を比べると、大変さが全然違う事になります。
そうした苦労をしない為にも、まずは外壁まわりの納まりをきちんと検討しておき、建物が持っている「雨が入ってこない」という性能を確保しておく事が重要です。
もちろん雨が入ってこないで見た目にも問題がない建物を造る事が前提ではありますが…
それが難しい状況も結構あるので、その場合の優先順位はやはり外壁まわりの止水ラインを構築することなので、まずはその優先順位を間違えないように検討を進めていきましょう。