前回は天井仕上材の選択肢のひとつとして、石膏ボードに塗装処理をする場合の納まりと、その場合の特徴などを取り上げてみました。
微妙な色も指定することが出来て、意匠的には非常に美しいのでグレードとしてはやや高めの天井仕上材という事になるかと思います。
あまり特別感のある仕上とは言えませんが、それでも出来上がった際の雰囲気は、色が決まっている岩綿吸音板や化粧石膏ボードとは違う雰囲気になります。
ただ、色を自由に決めることが出来るとは言っても、あまり特別な色を指定するのは結構難しいものがあって、結局は白系の色になってしまいがちではありますが…
それでも微妙なグレーや少し黒を多めに入れるなどが色々出来るので、天井の見せ方としては色々な選択肢がある状態である事は間違いありません。
今回取り上げる天井仕上材は、塗装仕上に少し似ていて、石膏ボードにビニルクロスを貼っていく納まりについて紹介をしていこうと思います。
石膏ボードにビニルクロスを貼っていく、という納まりは壁仕上材を紹介した際にも出てきましたが、イメージとしてはそれが天井になってという感じです。
ビニルクロスの品番によって表情は様々になってきますが、天井としての見た目はこのようなイメージになります。
塗装仕上の場合も色を指定する事が出来たので、意匠的な選択肢は色々という感じでしたが、ビニルクロスの場合も品番の選択肢は色々あります。
ただ、これは意匠設計者の好みによって違ってきますが、塗装に比べると見た目としてのグレード感は少し落ちるかも知れません。
塗装仕上と同様に、石膏ボードの目地はパテで処理していくことになるので、天井としては目地が入らないイメージになってきます。
ただしビニルクロスには品番によって最大巾が決まっている為、ビニルクロスのジョイントはどうしても発生し、それが目立つかどうかは貼る方の腕次第となってしまう側面があります。
大抵の場合はビニルクロスのジョイントが目立ってしまうような事はありませんが、時々ちょっとラインが気になってしまう場合があるかも知れません。
もちろんそうなる可能性はあまり高くないので、納まりを検討する際にはビニルクロスの目地を気にすることはありませんが…
天井仕上材としてビニルクロスを選定する場合、納まりとしてはやはり軽量鉄骨天井下地の上に石膏ボードを張り、その上にビニルクロスという関係になります。
塗装仕上の際にも話題になった「石膏ボードを1枚とするか2枚とするか」の問題は、やはり2枚貼った方がひび割れの心配がないので無難です。
ただ、ビニルクロスの場合は石膏ボードの上に貼っていく事になるので、パテ処理をした面に塗装していく仕上に比べると、石膏ボードのジョイントが目立ちにくいです。
そう言った意味では、石膏ボード12.5mmを1枚貼った上にビニルクロスを貼っていく、という納まりでも問題ない場合が多くなります。
もちろん上図のような納まりにした際に、大きく石膏ボードのジョイントに目違いが発生した場合には、ビニルクロス面がずれてしまうなどの懸念事項はあります。
どこまで石膏ボードのジョイント部を気にするかにもよりますが、石膏ボード1枚の下地に仕上をするのであれば、塗装よりもビニルクロスの方が良いかも知れません。
コストの事を考えて石膏ボードを1枚に抑えたいと考えるのであれば、もしかしたら化粧石膏ボードや直貼りタイプの岩綿吸音板の方が良い、という場合もあります。
そのあたりは見た目やコストなどを考えて、色々な選択肢の中から適切な判断をしていく、という作業が出てくる事になるでしょう。