建物の階高と天井高と天井裏スペース、そして天井裏スペースに入る構造体である梁と設備関連の配管やダクトなど。
前回はそのあたりの関係性について取り上げていき、階高を出来るだけ低く抑えようとする傾向にある中で、天井裏スペースは梁と設備関連の関係が苦しくなりがち、という話をしました。
天井裏スペースは最終的に建物利用者から見えなくなってしまうものですから、きちんと納まっているのなら、出来るだけぎりぎりの方が良い。
そうすることによって階高を低く抑えることが出来て、同じ建物の高さでも階数を多く取ることが可能になり、結果として建物の床面積を広くなります。
建物の階高を低く設定していくのはこうした理由があるからです。
天井裏の見えない部分は色々検討することによって出来るだけ少なく抑えて、建物を利用する方に見える部分を極力広く取りたい。
こうした方向で建物を設計する意匠設計者の考えるのですが、これは方向性としては全然間違っていない事ではないかと思います。
こうした事情があるので、設備のスペースである天井裏は常に厳しい条件になっている場合が多く、検討や調整をしながら納めていく事が求められてきます。
そうした設備スペースの調整には、下図のような関係がある訳ですから、当然天井の高さという要素が大きく絡んでくる事になります。
天井裏スペースについて検討をするには、天井の納まりがどのようになっているのかを知っておくことが必須条件になる訳です。
床や壁などと同様、天井仕上材にもいくつかのパターンがあるのですが、天井下地はそれほど大きく変わる事がありません。
今回はそんな天井下地の基本パターンを確認してみることにしましょう。
天井の基本的な構成はこんな感じになっています。
天井仕上材は壁と同様に、石膏ボードに貼ったり塗ったりする場合と、貼っていくものが既に仕上状態になっている場合がありますが、天井下地の形状は同じ。
上階の床コンクリートから吊りボルトを下ろしてきて、そこから軽量鉄骨下地をまずは流していき、それに交差するように軽量鉄骨下地をさらに流します。
こうして組んだ軽量鉄骨下地に対して、石膏ボードその他のボードを貼っていく、というのが天井納まりの基本パターンになります。
先ほども書きましたが、軽量鉄骨下地に貼っていくものは天井仕上材によって色々になりますが、軽量鉄骨下地のサイズは変わりません。
まずは最初に流す軽量鉄骨下地がこれ。
「野縁受け(のぶちうけ)」とか「チャンネル」などと呼ばれるこの材料の高さは38mm。
上階の床コンクリートから下ろしてくる吊りボルトに対して、天井下地軽量鉄骨を固定する専用の金物があって、その金物によって固定されていきます。
その軽量鉄骨天井下地に交差して流していく軽量鉄骨がこちら。
「野縁(のぶち)」もしくは「シングルバー」「ダブルバー」「エムバー」などと呼ばれます。
シングルとダブルがあるのは巾が違うからで、天井ボードのジョイント部分にはダブルバーを配置していく納まりが基本となります。
高さは19mmと25mmがありますが、大雑把な区分としては、内部の天井であれば19mmで外部の天井は25mmという感じで区分していきます。
最初に流した軽量鉄骨から専用のクリップを使って固定していく納まりになっていて、納まり自体は非常にシンプルな感じになります。
軽量鉄骨天井下地はこのような関係になっています。
シングルバーは基本的に303mmピッチで流していき、ボードのジョイント部分に配置するダブルバーは、ボードのサイズに合わせて適切に配置をしていく事になります。
石膏ボードであれば910mm×1820mmなので縦と横で石膏ボードに合わせたピッチに配置していく事になります。
天井下地に直接仕上材を貼る場合はそのサイズに合わせる事になり、例えば化粧石膏ボードであれば910mm×455mmなので、もう少し細かいピッチでダブルバーが入る感じ。
このあたりの具体的な納まりは、それぞれの天井仕上材について紹介していく中で詳しく説明をしていきますが、まずは軽量鉄骨天井下地の関係を先に覚えておきましょう。
今回紹介した軽量鉄骨下地のサイズと納まりの関係を覚えておけば、あとはその下に何を貼っていくのかという話になるだけなので、結構シンプルな話になるはずです。