前回は天井仕上材のひとつとして、岩綿吸音板の天井直貼りタイプの特徴や見え方について紹介をしました。
また、検討していく中で表現をする天井の目地と、実際の岩綿吸音板の目地とはイメージがかなり違う、という話も取り上げました。
ちょっと説明としては細かすぎる話だったかも知れませんが、それ程難しい話でもないので、ここである程度覚えてしまう事をお勧めします。
接着貼りタイプと直貼りタイプの特徴を押さえて上手く使い分けていくには、ある程度細かい部分についても知っておく必要がありますから。
岩綿吸音板についての話はこのあたりで終わりにしておき、今回はまた別の天井仕上材として「化粧石膏ボード」を紹介していこうと思います。
納まりとしては岩綿吸音板に結構似ている部分もありますので、使い分けの考え方も含めて覚えてしまいましょう。
まずは化粧石膏ボードがどのような商品なのかという話から。
化粧石膏ボードとは、石膏ボードの表面紙に柄のあるものを採用したり、表面から型押し加工をした製品の総称という感じになります。
上記は化粧石膏ボードの中で最も有名な、吉野石膏の「ジプトーン」という商品で、化粧石膏ボードと言えばジプトーンというくらいの商品です。
このジプトーンと呼ばれる天井仕上材は、非常に使い勝手が良いため、数多くの部屋で採用されています。
通常の石膏ボードは黄色っぽい紙が見える状態になるので、最終的にはパテ処理して塗装したりクロスを貼ったりする必要があります。
しかし化粧石膏ボードの場合は、既に表面が仕上がっている状態になっているので、貼ってしまえば施工が完了という大きなメリットがあります。
化粧してあるかないかの違いは大きいですね、
納まりとしては軽量鉄骨天井下地にビス止めをしていくタイプになり、ビスを外せばすぐに天井裏が見えるというメリットもあります。
設備などを更新したり改修工事の予定がある場合などでは、こうした直貼りタイプの天井を選定しておくのもひとつの手だと言えます。
具体的な納まりについての話をしていくと、先ほども書いたように軽量鉄骨天井下地に直接ビス止めしていく関係になります。
サイズも910mm×455mmになっているので、岩綿吸音板の直貼りタイプと全く同じ納まりという事に。
サイズも納まりも同じになるので、納まりを覚えるという意味ではそれ程大変な事ではない、という事になるかと思います。
しかしなぜ、岩綿吸音板の直貼りタイプと化粧石膏ボードというふたつの商品が同時に存在しているのでしょうか。
納まりを調べていく中ではこのような疑問が出てきますが、違うのはやはりコストと見た目と性能という事になります。
コストの事を考えると、岩綿吸音板よりも化粧石膏ボードの方が安価であるため、コストの面では優れているという事がまず言えます。
しかしその分、見た目は化粧石膏ボードよりも岩綿吸音板の方が良いですし、吸音性能もあるので性能としては優れています。
そもそも化粧石膏ボードは目地が目立たない製品ではなく、キッチリと目地がラインで見えてくる製品である事は、上記の写真を見て頂ければ分かると思います。
そのあたりの考え方から既に岩綿吸音板とは大きく違うので、コストが違っているのは当然の事だと言えるでしょう。
化粧石膏ボードと岩綿吸音板の直貼りタイプのどちらを選定していけば良いのかと言うと、それぞれの部屋のグレードによって判断していく事になります。
もちろんそうした判断は意匠設計者の役割になりますが、一般的に化粧石膏ボードはバックヤードの天井という立ち位置になると思います。
コスト的なメリットと、見た目としては目地が割と目立ってしまうという点と、ビス頭が見えてきてしまうという点。
これらの特徴を考えていった時に、化粧石膏ボードはやはり意匠的に大きく力を入れたい部屋の天井では採用しにくいです。
こうした見た目とコストによる使い分けの考え方は、それぞれの実物を自分の目で見て頂ければよく分かると思います。
見れば全然違うことが分かるはずですから。
とは言っても納まりや固定方法についての考え方は同じになりますから、まずは直貼り納まりパターンとしてしっかりと覚えておきましょう。