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意匠設計者と施工者の立場

前回は上階の梁と天井との関係を調べていき、最終的にどの程度梁下に寸法があれば天井としては納まるのか、というあたりを考えてみました。
鉄筋コンクリート梁の場合は100mm程度、出来れば120mm程度、鉄骨梁の場合は150mm程度の寸法があれば、天井下地を含めて納まることになります。

これらの寸法は「クリアランス」と呼ばれる考え方も含めた寸法になっていて、余分な寸法に見えるかも知れませんが、必要な寸法だという話も取り上げました。
施工精度を見ておく事と、性能を確保する為に厚みが必要な部分では少し厚めを狙っていくという事を考えると、やはりある程度のクリアランスがないと納まらないんです。

もちろん図面上では、梁が少し施工精度によって下がっている状況を表現するのは難しいですし、耐火被覆を少し余分に吹いている表現をするのも変な感じです。
図面はあくまでも目指すべき理想的な状態の完成形を示す必要があって、現実はこうなるみたいな状況を表現するものではありません。

理想的な状況というのはつまり、梁レベルは施工精度を無視した正規の位置になりますし、耐火被覆は25mmとか45mmなどのぴったりな寸法で表現するという事です。
そうして理想的な状態を図面では表現していくしかないのですが、ぴったりで逃げのない表現をするからこそクリアランスが必要なんです。

施工誤差0は難しい…

図面上の理想的な納まりと、現実は理想的には進まないという状況を意識して、クリアランスを設けておくことが納まり検討の基本。
このあたりの関係を、納まり検討をしていく人は知っておく必要があって、それを知りながら理想的な最終形を作図していく、という流れになります。

ただ、実際の施工は図面通りにはいかないという現実の納まりを知りすぎてしまうと、施工精度によるクリアランスをかなり大きめに確保していく傾向になってしまいます。
しかし、いくら施工精度の問題があってクリアランスゼロを狙えないからと言って、クリアランスを大きく取り過ぎてしまうのはNGです。

やはりそうしたクリアランスの設定にも限度というものがあります。
頑張って施工精度ゼロを目指しても、やはり人間が作業することなので多少はずれてしまう、というくらいの数値を吸収出来るクリアランスが適切ではないかと思います。

このあたりの設定を施工者が検討して調整していくと、やっぱりクリアランスを大きめに見ながら検討を進めることになってしまいます。
逆に意匠設計者が納まりの検討をしていくと、「建物をこうやって納めたい」という気持ちが非常に強くなってしまい、クリアランスをゼロに設定してしまいがち。

こうした感覚の違いというのは、設計者の考え方と施工者の考え方の違いを非常によく表しているので、なかなか面白いと思ってしまいます。
もちろんこれは一般的な考え方の傾向であって、皆がこのように考えます、という決めつけをしている訳ではありませんが…

意匠設計者が「施工者はクリアが必要と言っているけれど、頑張ればかなりの精度で施工は出来るのではないか?」と思ってしまうのも分かります。
一方で施工者が「精密機械を作ってる訳ではないのだから、クリアランスをゼロにして納めるなんて不可能に決まっている」と思ってしまうのも分かります。

結局のところは設計者と施工者がお互いに歩み寄って意見をすりあわせていき、適切な寸法のクリアランスを確保しておく、という事になると思います。

意匠設計者には、施工者は別に楽をしたくてクリアランスを多めに取っている訳ではありません、という事を知っておいて頂きたい。
施工者には、やはり出来るだけ建物を広く取ったりする為に、頑張って精度を高めて納めて欲しい部分もある、という事を知って頂きたい。

というような感覚になるのだと思います。
今回は梁下端と天井との間の納まりでクリアランスの考え方について書きましたが、もちろんクリアランスの考え方は色々なところに出てきます。

場所に関わらず、設計者と施工者の考え方が少し違っている事や、クリアランスに対するスタンスの違いなどは必ずあるもの。
最終的には適切なクリアランスの納まりに設定する為にも、お互いの考え方の違いについてしっかりと押さえておくことをお勧めします。

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