今まで天井仕上材の種類とそれぞれの特徴や納まりなどについて色々と説明をしてきましたが、内部で採用される天井の主なパターンは大体網羅出来たかと思います。
天井仕上材のバリエーションは様々ありますが、ポイントとなる項目は以下のような点になってきて、押さえるべきところはそれ程多くはありません。
・軽量鉄骨下地にビス止めになるか、もしくは石膏ボード下地が必要か
・天井仕上材のサイズと厚み
・目地部分の処理方法(突付け・目透かし・シール等)
上記の項目をきちんと把握しておく事が出来れば、天井の納まりとしては特に大きな問題になる事はほぼありません。
あとは天井仕上材の色や柄などの話になってくるので、どのような見せ方をするかという部分を意匠設計者が検討していく事になります。
内部の天井については一通り話が出来たという事で、今回はちょっと話を変えて、外部の天井についての話を取り上げてみたいと思います。
天井というと、どうしても室内というイメージがあるかも知れませんが、実際に色々と見ていくと外部にも天井は結構あることが分かります。
外部の天井を指して「軒天(のきてん)」と呼び、内部の天井と同じように、上階の構造体や配管やダクトなどを隠す役割を持っています。
まずは軒天がどのような状況で必要になるのか、というあたりについて考えてみると、基本的には外壁ラインが上階と下階とで異なる部分で発生してきます。
もっともシンプルな例としては、2階の外壁ラインに対して1階の外壁ラインが少し下がっている場合で、上図のように外壁ラインの差がある部分に天井が必要になってきます。
外部に面する状態になっているけれど、上部には構造体があって照明なども天井面に取り付けたい、という事になるので外部であっても天井は必要という流れになります。
外部であっても天井が必要な状況がある、という事はこれで分かりましたが、どのような天井仕上材を選定するのかと、天井下地をどのように考えるのかという問題があります。
ここでまずは内部と外部の天井について、どのように条件が違っているのか、という部分について考えてみることにします。
内部の天井は基本的に雨に濡れない事を前提としていますが、外部の天井であれば雨に濡れることを前提とする必要があります。
また、内部の天井は風圧についても特に計算に入れる必要はありませんが、外部の天井は台風の時などでも飛ばされないような検討が必要。
内部の天井と軒天との条件の違いはこんな感じで、要するに濡れても問題ない天井仕上材を選定して、ある程度の風圧にも耐える下地である必要がある、という事になります。
こうした理由から、選定することが出来る天井仕上材はある程度限定される事になり、天井下地も少しだけ頑丈なものになっていきます。
まずは軒天として採用される天井仕上材ですが、ざっと挙げていくと以下の天井仕上材が候補になってくると思います。
・岩綿吸音板
・アルミパネル
・ケイカル板+塗装仕上
石膏ボードは水に弱いという特徴があり軒天には不向きなので、選択肢は意外に少なくなってしまうのですが、岩綿吸音板は外部仕様の製品があります。
アルミパネルも当然外部で問題なく機能します。
軒天を塗装仕上にしたい場合には、石膏ボードの上に塗装では雨に濡れた場合ダメなので、ケイ酸カルシウム板に塗装をする事になります。
これはあくまでも個人的な見解になってしまいますが、軒天の仕上材として最も無難なのはケイカル板+塗装仕上ではないかと思います。
軒天の下地としては、室内の天井下地とは少し違い、シングルバーの高さを19mmのタイプから25mmのタイプに変えて納める場合が多いです。
場所によって耐風圧などの計算をした上で下地やボードの厚みなどを決めていく、という手順をとっていく事になります。
上図は軒天にケイカル板+塗装を採用した場合の基本納まりで、階高が高い部分ではケイカル板の厚みを上げていくなどの対応をしていくことになります。