天井の高さは通常各部屋ごとに分かれているものですが、場合によっては同じ部屋でも少し違う天井高を設定している場合もあります。
それがポジティブな理由の段差なのか、それともネガティブな理由の段差になるのかはさておき、基本的な天井段差の納まりは変わりません。
理由がどうであれ納まりが変わらないのであれば、まずは基本的な納まりしっかりと覚えておいた方が良いという事で、前回は基本断面図を紹介しました。
天井の形状によってその空間が持つ雰囲気というのは変わってくるものですから、意匠設計者としてはそうした段差を最大限に利用しようと考えるもの。
今回はそうした天井段差納まりのひとつとしてよく採用される、間接照明の納まりパターンを紹介してみることにします。
意匠的に狙って天井を一部上げる納まりの場合、その段差部分に間接照明を入れておき、上げた天井部分を照らしていく納まりにする事があります。
これは結構良くあるパターンなのですが、それだけ選ばれる納まりというだけあって、完成形は非常に美しく仕上がります。
こうした間接照明の納まりがどのようになっているかというと、下図のような関係になっています。
軽量鉄骨天井下地を少しはね出しておき、そこに照明器具を乗せて、上げた天井部分を照らしているという納まりです。
天井仕上材と天井下地の寸法、そして下から照明器具が見えてしまわないようにする事などを考えると、段差は200mm程度あった方が納まりが良いです。
もう少し段差を少なくすることも検討は可能ですが、あまりぎりぎりを狙っても、どこかで無理が生じてしまうので、無難なのはやはり200mmだと思います。
低い方の天井が途切れる部分には、何らかの見切材を入れる必要があります。
見切材の材質は木や鋼材など幾つかの選択肢があって、一般的に用いられるのが平鋼板、いわゆるフラットバーと呼ばれる鋼材ですね。
下から見た際のラインを細く見せたいなどの納まりを考えていくと、フラットバーが選ばれる割合が多いかも知れません。
どのような材料を選定するのかは意匠設計者の判断になりますが、ある程度納まりのパターンは限られてきます・
意匠設計者としては、見切の高さを出来るだけ小さくして細く見せたいと考えてしまいますが、あまり低くすると照明器具が見えてしまう恐れがあるのでお勧め出来ません。
間接照明で照明が直接見えてしまう状態になると、ちょっと納まりとしては失敗という感じです。
また、一部天井高を上げた範囲については、照明で照らすことを考えて、天井仕上を塗装仕上にする場合が多いです。
通常の天井が岩綿吸音板になっていて、一部上げた範囲については塗装仕上として、塗装した面を照明で照らしていく、というような納まりですね。
こうした納まりの注意点としては、一部天井レベルを上げることになるので、上げた天井範囲が上階の張りに干渉する可能性がある事でしょう。
これはちょっと初歩的すぎるミスなのですが、残念ながら割と良くあるミスでもあるので、まずはレベル関係を確認しておいた方が良いです。
早めにこうした問題が発覚していれば、意匠的にどうするかの選択肢は結構多いのですが、施工を始めた時期に発覚するとあまり出来る事は多くありません。
図面上で検討する意味はやはりそのあたりにあるんですよね。
どうしても意匠的にこの間接照明は譲れない、という場合には、上階梁の高さを構造設計者と調整した上で小さくして数を増やすなどの検討も出来たりもします。
しかし既に梁と床コンクリートが出来上がっている段階でそのような調整は出来ませんので、なるべく早めにこうした問題は発覚した方が良いんです。