壁の金属パネル納まりとして、スチールパネルにはどんな特徴があるのかという話と、基本的な納まりのパターンについて前回までで紹介をしてきました。
スチールパネルの基本仕上は塗装になりますが、場合によっては溶融亜鉛メッキリン酸処理を仕上として見せる場合もあります。
溶融亜鉛メッキ処理というのは、金属を高温で溶かされた亜鉛層に漬ける事によって、金属の表面に亜鉛の皮膜を作っていくという処理になります。
なので、金属とは言ってもある程度の厚みを持った鋼材である必要があり、例えば厚み1.6mmの鋼板をメッキ処理をするのは非常に難しいものがあります。
要するに亜鉛の層に漬けられている間に曲がってしまったりするので、スチール曲げ加工で私用するような薄い鉄板ではメッキが出来ないんです。
だからこそ、リン酸処理を仕上として見せたい場合には、スチール曲げパネルではなくある程度厚みをもったカットパネルである必要がある、という事になります。
溶融亜鉛メッキのリン酸処理を仕上として見せるのはかなり稀な事だと思うので、納まりのパターンとして覚えておいてもあまり出番はないかも知れませんが…
スチールをカットパネルとして納めるやり方は、アルミパネルなどの納まりパターンと基本的には同じになりますので、セットで覚えてしまう事になると思います。
さて、今回は金属パネルの納まりとしてはこれで終わりという事で、ステンレスパネルの特徴や納まりについて取り上げていこうと思います。
まずはステンレスパネルの特徴について、以前簡単に説明した際の内容をおさらいしてみると、このような特徴を持っている事が分かります。
・重量はかなりある
・壁としての強度は充分
・比較的錆びにくい
・基本は曲げパネルの納まりとなる
・表面仕上のパターンが幾つかある
・塗装仕上も可能
・外壁でも採用可能
ステンレスパネルの特徴はややスチールと似ているのですが、一番の違いは「錆びにくい」という点にあり、それがステンレスの大きな売りとなっています。
あくまでも「錆びにくい」であって「錆びない」という事ではない、というあたりが注意点としてありますが、余程の事がない限り錆びたりはしませんので大丈夫です。
こうした錆びにくいという特徴を持っているため、ステンレスパネルは外部でも使える、というあたりがスチールとは大きく違う点になります。
納まりは基本的にはスチールパネルと変わりませんので、表面の仕上をどちらにするのかという違いがあるだけ、という感じですね。
あとは表面の仕上をどうするかですが、ステンレスの場合は選択肢が結構多いので、そういった意味では意匠設計者の好みに合っているかも知れません。
スチールと同様に塗装仕上をする事も可能で、その場合は当たり前の話ですが色の選択肢は非常に多いので、様々な場所に採用することが出来ます。
これもスチールの場合と同じですが、塗装にしてしまうのであれば、わざわざステンレスを採用しなくても良いか…となる場所も結構あるとは思います。
もちろん、外部では石膏ボードの壁は作れませんので、外部で塗装を見せたい場合の選択肢としてステンレスがあり、決して塗装が不要という訳ではありません。
塗装の他にある仕上としては、ステンレスの表面を研磨していく事によって色々な表情を作っていく、という選択肢があります。
材質がステンレスであれば、表面を塗装するよりもこれから紹介するこれらの表面仕上が採用される場合が多いかも知れません。
ステンレスの表面処理には色々なパターンがあるので、次回にもう少し細かく分類して色々と紹介をしていこうと思います。