前回は少し話が逸れてしまいましたが、建物の様々な部分の納まりについて検討をする際に、施工者がどのような事を考えるか、という話をしてみました。
私が実際に全ての施工者に対してインタビューした訳ではないので、これはあくまでも私の個人的な感想でしかありませんが…
基本的なスタンスはどの施工者も恐らくそれほど変わらないと思います。
あらゆる部分の納まりがきちんと決まっていて、それを元にして様々な製作物を工程に間に合うように手配していく、というのが施工者の役割です。
その役割を果たす為に、それぞれの立場ごとに全力で仕事に取り組む事になる訳です。
ただし現実はそれほどスムーズに進む訳ではなくて、色々な部分で決まり切っていない部分が出たり、想定していたように納まらなかったりする場合があります。
現実は理想的な流れにならない場合が結構ある、という事なのでしょう。
こうした理想と現実のギャップというのは結構あって、理想的な流れを目指してもなかなか上手くいかない、という場合も実際にはかなり多いのではないかと思います。
建築のプロとして理想的な状態を目指すのは当然のことではありますが、現実が伴わない場合もあって、その場合にどうするかが重要になってくるんです。
理想を目指すことは良いのですが、その理想が上手くいかない場合に、精神的にあまり良くない状態になってしまう場合もあります。
これはどんな仕事でも同じですから、わざわざ建築の納まりについての検討に限定するような内容ではありませんが…
こうした状況に建築のプロとして対応していく為には、建築の納まりと同様に、ある程度の「逃げ」というか「余裕」が必要になってくるのではないかと思います。
逃げというのは別に悪い意味ではなくて、ある程度思い通りにいかない場合があったとしても、それを「なぜ上手くいかないのか」を悩むのではなく、「まあそんなものか」と思う気持ちです。
こうした精神的な余裕がないと、実際の仕事では必ずと言って良いほど思い通りにいかない場合が出てくるはずなので、その都度ストレスをためていくと仕事が面白くなくなってしまいます。
仕事が面白くないのであれば、それは仕事として長続きしなくても無理はありません。
仕事だから大変なのは当たり前ですよ、などという経営者の都合でしかない話をするつもりは私には全くなくて、当然仕事にもある程度は面白みが必要だと思います。
そうした面白みとか自分の成長が感じられないような状態でお金の為に仕事をするのは辛い、というのは間違いなく事実ではないかと思います。
仕事は色々な人が絡んでくるので、自分だけが思った通りに進めていくことが難しいというのは事実だと思いますが、結局は最後まで粘り強く続けていくしかありません。
こうして長いスパンで仕事を続ける為には、真面目に理想を追いすぎて逃げがない状態よりも、ある程度余裕を持って継続していく事の方が重要ではないかと思います。
もちろん向いていない仕事に対して長期間続ける姿勢を保つのは大変ですし、あまり実りのある頑張りとは言えないのでそこが難しいところではありますが…
仕事は最後まで続けた人が結局は勝ち。
なので、ある程度逃げというか余裕を持ちながら進めていくのが良いのではないかと思います。
まあこれが言うほど簡単ではない、という話もありますけれど。
本当に話が大幅に逸れてしまったので、次回はECPの話に戻って、表面の仕上について考えてみることにします。