建物の構造体が鉄骨なのか鉄筋コンクリートなのかによって、特に外壁を構成する壁の仕様というのは大きく違ってくることになります。
鉄筋コンクリート造の建物であれば壁もコンクリートになる場合が多く、鉄骨造の建物であればALCやECPなどのコンクリート二次製品や勤続パネルが多くなる傾向に。
もちろんこうした傾向は絶対のものではありませんので、鉄筋コンクリート造の建物でALCやECPを採用しない訳ではありません。
同様に鉄骨造の建物でコンクリートの壁を採用しない訳でもないのですが、やはり必要性と効率などを考えた時には、あえてこうした傾向を無視する事もないと思います。
定番と呼ばれる選択肢が最も効率的、というのは良くある話ですから。
一般的な納まりというのは、今現在に至るまでの数多の設計・施工例の中で、納まりや性能やコストなどを踏まえて選定されてきたものです。
そうした過去の貴重な例によるパターンをあえて無視することには、それ程大きなメリットはないのではないかと個人的には思っています。
もちろん過去の経験からくる基本パターンがベストではない場合もあるので、それを何も考えずに採用するのは設計者として避ける必要があると思います。
しかし、単純に「普通の納まりはイヤだ」という理由があるだけで、こうした一般的なパターンを忌避する事はあまり得策ではないはずです。
という事で、今回はこうした一般的な納まりのパターンを意識しつつ、壁の構成について調べていく事と、壁の下地にはどのような種類があるのか、というあたりを考えてみることにしましょう。
と、ちょっと大げさな表現になってしまった感じですが、実際のところ壁下地の種類というのはそれほど多くはありませんのでそんなに難しいことはありません。
まずは建物の構造によって使い分けられる壁下地の種類と特徴をつかんでおけば、納まりを検討する目的は問題なく果たすことが出来るはずです。
あとは建物がどのような構造であっても採用される軽量鉄骨(LGS)下地+石膏ボードのパターンをしっかりと理解しておけばOKでしょう。
ちなみに…
壁の納まりについては、本当に特殊なパターンが時々ありますが、そうした特殊な納まりについては後まわしにしてしまって良いと思います。
ほとんど登場しないような珍しい部分の納まりを細かく覚えていくよりも、まずは大部分を占める一般的な納まりを確実に覚えてからの方が効率は良いですから。
意匠的なことを考えると、そうした特殊な納まりの方が気になってしまいますけど、このカテゴリではまず基本的な納まりの考え方から解説をしていきます。
これではあまり面白くないかも知れませんが、長い目で見ればあまり面白くない納まりをきちんと覚えておく方がはるかに効果的だと思います。
床仕上に比べると壁の納まりというのはそれほど難しい訳ではありませんが、きちんと押さえるべきポイントをつかんでおかないと、結局やりなおすしかない状況になったりします。
そうしたまずい状況になるのは何が原因なのか、というあたりの話もしていきますが、そうならない為にも、まず納まりの検討をさらっと進めておくことが重要です。
…と、ちょっと前置きが長くなりすぎてしまいましたが、まずは壁の下地にはどのようなものがあるのかという事で箇条書きしてみることにします。
・鉄筋コンクリート
・ALC
・ECP
・コンクリートブロック
・鉄骨下地
・軽量鉄骨(LGS)
・石膏ボード等
壁の下地ということで上記の項目をピックアップしてみましたが、そのままの状態で見せることになる場合もあるので、完全に壁下地という訳ではないんですよね…
例えば鉄筋コンクリート壁の場合、コンクリート壁を下地としてタイルを貼ったりする場合もありますし、コンクリート壁の表面をそのまま見せる場合もあります。
ECPに関しても同じように、ECPの上に吹き付けなどの仕上をする場合もあるし、ECPをそのまま見せる場合もあって、下地にも仕上にもなり得るという感じです。
このあたりの区分が壁というのは複雑になっていますが、まあそのあたりの話はそれぞれの項目についての説明をする際に補足していくことにして…
まずは上記の項目についてもう少し詳しい話をしていくことにしましょう。