前回までの話では、外壁タイル割付けの基本的な考え方と調整方法について、具体的な納まりの例を挙げつついくつか紹介をしてきました。
検討しておくべき項目がたくさんあって、しかもそれが壁下地に影響してくる事になるので、タイル割付の検討は結構大変な作業になります。
このあたりは基本パターンをきちんと押さえておき、ひとつずつ納まりを明確にしていきながら問題点を粘り強くつぶしていくことになるはず。
その為の基本知識として、前回は外壁タイルの基準となる考え方を簡単に説明した訳ですが、ここで少しだけ注意点があります。
前回紹介した例はすべてがタイル目地だった場合の話であり、あくまでもタイル割付けの考え方を確認するという目的で作成した例である、という事をご了承ください。
紹介した納まりが全然間違っているとか、そうした話ではなくて、色々な考え方がある中でもう少し違う納まりになる可能性もあります、という話です。
実際には鉄筋コンクリート壁の開口部分にはひび割れ誘発目地が入る場合が多く、その場合は誘発目地部分で20mm程度のシール目地が必要になります。
前回の例で出した図面に誘発目地を入れる場合、イメージとしてはこんな感じになります。
こうした納まりになると、当然説明をしてきた色々な数値が変わってくることになりますが、誘発目地をどのように入れていくかは場面によって違うので、基本納まりとして説明しにくいんですよね…
意匠的には1500程度のアルミ建具であれば、両側にシール目地を入れるのは避けたいと思う場合も多いので、ちょっと説明が中途半端になってしまいます。
拙い説明の言い訳をしているみたいで変な感じですが、鉄筋コンクリートの開口だから誘発目地を当然入れるはず、という意見もあると思うので補足させてもらいました。
さて、少し前置きが長くなってしまいましたが、今回は内壁にタイルを貼る場合のタイル割付けの考え方について説明をしていきます。
内壁タイル割りの考え方は、外壁の場合とそれほど大きく変わることはありません。
タイルを貼っておきたい壁があって、その壁の中でタイルを綺麗に貼っていくことを検討して、もし綺麗に割り切れない場合はどうするか、という話は基本同じ。
タイルが割り切れない場合にどうするかという点も外壁と同じで、壁下地位置を優先させるのか、それともタイル割付けを優先させていくか、という考え方です。
ただ、内壁のタイルは外壁とは違い、それほど割付けを重視しなくても良い場合もあるので、壁下地を移動するかどうかの判断は外壁とは少し違うかも知れません。
もちろん意匠設計者の考え方によってこのあたりは違ってくるものですが…
例えばトイレの壁に100mm×100mmのタイルと貼る予定があったとして、100mmのタイルを綺麗に貼ることが出来るように、LGS壁の位置を50mm移動するか、という話です。
実際はトイレ廻りのプランは結構スペースに限りがある場合も多く、その中でタイルを優先させて壁を移動するのはあまり現実的ではない場合もあります。
内壁のタイルはそれ程目地が目立たない場合もあるので、そこまでしてタイルを綺麗に割付けていく必要があるかどうか、というあたりの考え方ですよね。
そういった事情を色々総合的に考えて、壁下地の位置、つまりLGS壁の位置はそのままにする、という判断が外壁に比べると多くなる事は間違いありません。
とは言っても、やはり出入口のドアなどの建具サイズだけは、タイルに合わせて調整しておいた方が良いのではないかと思います。
次回はもう少し内壁タイル割付けについての話を続けることにして、建具廻りの具体的な納まりについて考えてみることにしましょう。