鉄筋コンクリートの壁は、建物の構造についての話をした際にも書きましたが、基本的に鉄筋コンクリート造(RC造)の建物で採用される壁下地になります。
鉄筋コンクリート造の建物では、時には壁が構造体になっている場合もあって、まずは構造的に必要な壁になるのかどうかを構造図によって把握しておく必要があります。
鉄筋コンクリートの壁は造る手間が大きく、撤去する手間も大きいという特徴があるため、単純な間仕切り壁としての機能だけを求める場合には不向きな壁下地とも言えます。
特に止水性能や耐火性能が必要という訳ではなく、部屋と部屋を区切ることだけが目的なのであれば、恐らくLGS下地壁の方が手軽でコストもかからないので優れているはずです。
その反面、建物の外周に柱や梁と連続して鉄筋コンクリートの壁を設けることによって、高い止水性を持った壁を構築することが出来るという特徴もあります。
建物の外周であれば、増築などをしない限りは撤去をするような状況になることもないので、鉄筋コンクリートの壁が適していると言えるでしょう。
建物の外周であれば、鉄筋コンクリートの壁はこのような関係になっています。
柱と壁を鉄筋コンクリートで連続させることによって、外壁としての一体感を出して止水性能を確保しているという納まりになっています。
また、鉄筋コンクリートの壁は非常に堅牢なつくりになっている為、その上に仕上材を施工する際にも、固定方法の選択肢が多いという特徴を持っています。
例えばタイルを貼る場合でも鉄筋コンクリート壁であればそこに貼っていくだけで済みますし、金属パネルなどを貼る場合でもコンクリート下地に何かを固定するのは簡単です。
他の仕上材との関係とか、そうした仕上材との納まりなどを検討していくにつれて、鉄筋コンクリートの壁があるというのはそれだけで納まりの問題が少なくなる、という事に気がつくと思います。
これは鉄骨造の納まりを検討した際に「やっぱりRC造は良いよな…」という感じで、もっとも顕著にその現実を感じることになるのでは、という気がします。
私も毎回似たようなことを思ってしまうので…
鉄筋コンクリートの壁は、コンクリート化粧打放し仕上として、そのままの状態で外壁として見せてしまう場合も結構あります。
仕上がりは下図のような雰囲気で、ちょっと建物が洗練されて見えるような感じになるので、設計者がよく好んで採用する仕上のひとつです。
こうしたコンクリート化粧打放し仕上とうのは、コンクリートの上に仕上材がないのだから仕上工程が省けて納まりとしては簡単になります。
…と言いたいところなのですが、本来は下地として造るものを仕上として見せなければならない、というのは実際にはそう簡単な事ではありません。
綺麗に見せる為には型枠の割り付けやセパ孔の位置なども厳密に決めていく必要があって、それをコンクリート工事の中で完結させるのはなかなか大変な事なんです。
コンクリート打設時に施工があまり上手くいかなかった場合、それを元にもどしてもう一度やり直すのは至難の業といいう事になります。
色々とコンクリート化粧打放し仕上について書いてしまいましたが、要するに事前の計画が大変で後戻りが非常にやりにくい施工になる、という感じになります。
こうした施工者の都合などを色々と考えた時には、コンクリートの上に何らかの仕上材を貼った方が楽だし綺麗に仕上がるので、化粧打放しは避けたい気持ちになってしまうんです。
とは言っても、上手く計画通りに施工が進めば、コンクリート化粧打放し仕上の見映えはやはり非常に良いので、設計者が採用したがる仕上である事もうなずけます。
もちろん建物の外壁は建物のイメージを決定する非常に重要な要素ですから、施工が大変だからと言ってその方針が覆る訳ではありませんが…
それでも施工をする側の切実な気持ちとしては、出来るだけ化粧打放しは避けたいと思うのが一般的ではないかと思います。
コンクリートの上に施工するタイルや石や金属パネルなどの納まりについては、壁の仕上材について色々と説明をする際に細かく説明をしていく予定でします。
なのでここではシンプルに以下の点について覚えておく事をお勧めします。
鉄筋コンクリート壁が採用されやすい構造は鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造であるという点がまずはひとつ。
高い止水性能を持っているため、建物外周で採用される場合が多く、色々な仕上材の下地としても優秀であるという点がもうひとつ。
これを覚えておく事で、この後で紹介する色々な壁仕上との納まりに入っていきやすいと思うので、まずは上記のポイントを押さえておきましょう。