前回はタイルと建具との関係がどのような納まりになるのか、という部分について考えてみましたが、外壁部分の納まりについての話で終わってしまいました。
外壁タイルの方が納まりのパターンが複雑なので、先に説明する事になるのは仕方がないかなと思いますが、今回は引き続き内壁タイルと建具との関係について考えていくことにしましょう。
内壁タイルの納まりは基本的にLGS+石膏ボードもしくはケイ酸カルシウム板の上にタイル、というパターンになってきます。
この関係は以前説明した通りで、今回はこの納まりに建具が絡んできた際にどのような関係になるのか、というあたりの話になります。
まずは内壁の建具がどのような納まりになるのか、という話ですが、建具は壁厚プラス20mm程度の見込み寸法になる納まりが基本になっています。
プラス20mmというのは「チリ」と呼ばれる出っ張りの寸法で、壁の両側に10mmずつチリを設ける事で+20mmになる、という感じになります。
これが内壁の建具基本納まりです。
内部の建具はコストや見た目などを色々と考慮していくと「SD」と呼ばれる、要するに鋼製建具(スチールドア)が多くなってくると思います。
水廻りなどでステンレスが採用されたりはしますが、基本的にアルミ製建具は外壁だけに取り付けられる場合が多いです。
この基本納まりの壁に対して、壁にタイルを貼っていく納まりにした場合はどうなるかというと、シンプルにタイルをプラスした納まりになるだけです。
タイル面に対してチリを10mm見るかどうかについては色々な意見がありますが、個人的な意見としてはタイルから10mmのチリが良いのではないかと思います。
基本的に建具のチリというのがなぜ存在するのかというと、LGSに対して石膏ボードを貼っていった際の施工精度を考慮しているから。
LGSに対して石膏ボードを貼っていった際に、ボードとボードとの間に少し隙間が出来たりして、図面の表現よりも実際は少し壁が厚くなったりするんです。
また、ボードの上に巾木を貼ったりする事もあるので、そうした実際の施工を考えて、それでも問題なく納まるようにという考え方で建具のチリを10mm程度取っていくことになります。
建具のチリというのはこうした考え方で計画されるものなので、施工精度を考えるのではなく正式な壁仕上厚であるタイルの面からチリを見るのが考え方としては正解です。
また、タイルの面と鋼製建具の面との関係をどのように考えるかという話については、色々な考え方がありますが、基本的には少し隙間をあけてシールで納めることが一般的です。
ドアを何度も開閉する場合には、閉じる時の振動などがどうしても壁に伝わってしまう事になるので、出来るだけそうした振動がタイルに伝達しないように気を遣う訳です。
シールの巾は大きい方が逃げが聞いていて良いのですが、シール巾を大きくしてしまうと見た目が悪くなるというデメリットにあります。
そのあたりを考えると、10mm程度のシールで納めたくなるはず。
私も10mm程度のシール巾で納まりを計画したことは結構ありまあすが、内壁であれば10mmのシール巾でも問題なく納まるのではないかと思います。
内壁タイルと建具との関係についての説明はこれで終わりです。
次回は外壁・内壁のタイル納まりについて、タイルの割付を含めて色々な要素を説明していこうと思っています。
その際には、今回書いた内容もけっこ出て来るのでなかなかのボリュームがある説明になっていきそうな感じがしています。