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建物の構造による壁下地の違い

壁というのは単純にひとつの材料で構成されていることは少なくて、下地になる材料の上に仕上材を貼るようなパターンの壁が結構たくさんあります。
単純にひとつの材料で構成されていれば、納まりについて検討する項目はかなり減ってくると思いますが、実際はそんな状況はあまり多くありません。

例えば外壁で言えば、コンクリート下地にタイルを貼っているとか、ALCに吹き付け仕上をするとか、鉄骨の胴縁に金属パネルを貼っていくなどのパターンがあります。
内壁について考えると、コンクリート壁に対してモルタルを塗って塗装仕上にしたり、LGS下地に石膏ボードを貼ってビニルクロスを貼ったりなど。

こうした組み合わせを考えていくとかなりパターンとしては多くなってくる事になりますが、それぞれの納まりをきちんと押さえておけばあとはその組み合わせです。
基本を押さえておけばあとは応用がきいてくるので、まずはその基本をきちんと覚えるという目的で、壁の下地にはどんな種類があるのかについて考えてみることにしましょう。

壁の下地について考えると、先ほども例に挙げてみましたが、コンクリートとかALCとかLGSなど様々な種類の壁下地が選択肢として存在します。
こうした多くの選択肢から適切な壁を選定するには、まずは建物の構造がどのようになっているか、という点が重要になってきます。

壁の下地というのは建物の構造によってある程度決まってくるもので、例えば鉄筋コンクリート造であればコンクリートの壁が下地の選択肢になってきます。
一方で鉄骨造の場合はおそらくコンクリートの壁はほとんど出てこないはずで、場合によってはALCなどの壁が壁下地として登場する事になるはずです。

S造のALC壁イメージ

鉄骨造にコンクリートの壁というのはあまり現実的ではないし、そもそもコンクリートの壁を造るメリットもあまりありません。
そうなると鉄骨造であれば選択肢としてコンクリート壁というのは全然ないという事になり、もっと別の壁を選定していく必要があるという事になります。

鉄骨造の場合はコンクリートが床だけになる場合が一般的なので、型枠が存在せず、コンクリート壁を造りたい場合はわざわざそこだけに型枠を用意しなければなりません。
言うまでもなくこれは相当効率が悪い事なので、ある程度剛性が必要な壁であっても、ALCやECPなどのコンクリート二次製品を取り付けることになる場合が多くなる。

鉄骨造の建物でコンクリート壁が採用されにくい理由としては、上記のような感じになりますが、何となくイメージは出来るかと思います。
もちろん決して不可能ではないのですが、わざわざ手間をかけてコンクリートの壁を造るメリットがあまりない、という理由が最も大きいです。

逆に考えると、鉄筋コンクリート造の建物では、床だけではなく柱や梁などたくさんの部分に型枠が使用される為、壁をコンクリートにすることに全然違和感がありません。
型枠の数量が少し増えるだけで済んでしまうので、特に止水性能を求める外壁などでは、自然とコンクリート壁を採用する場合が多くなる、という感じです。

逆に鉄筋コンクリート造の建物で外壁にALCを建てる場合には、柱と梁の型枠を解体してから改めてALCを建てる必要があり、二度手間という感じが非常に強くなります。
柱と梁の型枠を解体してから改めてALC壁を建てるのであれば、型枠工事の時に壁の型枠もついでに造ってしまった方が効率的、という考え方をする訳です。

建物の構造による壁下地の違いについて知っておけば、自然と建物の壁が場所によってどのような構成になるのかが見えてきます。
次回はこうした話を踏まえつつ、壁を構成する下地についての話を進めていくことにします。

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