前回はアルミ曲げパネルの納まりについて簡単にではありますが、図面を交えて説明をしてきましたが、何となく雰囲気は伝わったでしょうか。
アルミ曲げパネルも建物の外部で結構採用されることになる材料ですので、納まりの基本的な考え方をまずは押さえておくと後が楽になります。
さて、今回はそんなアルミパネルについてもう少し調べていくことにして、アルミカットパネルとアルミ曲げパネルとの違い、という部分を考えてみることにします。
単純な性能的な面で比較をすると、アルミカットパネルもアルミ曲げパネルも似たような性能ですからほぼ変わらないという事になります。
ではどこで差が付いていくのかというと、簡単に言ってしまえばコストと見た目ですね。
アルミ曲げパネルの特徴について、アルミカットパネルと比較して考えてみると、まず考えられるのがコスト的なメリットが結構ある、という点になります。
アルミ曲げパネルはアルミカットパネルに比べると板厚が薄くなる傾向にあるので、コスト的な面ではやはり有利になっていく傾向にある訳です。
素材としてアルミを見せたい場合や、外部の雨がかり部分で金属パネルを採用したい場合など、アルミを選定したい場面は結構多いものです。
しかしアルミカットパネルはコスト的にちょっと難しい、というような事になった場合に、今回紹介するアルミ曲げパネルであれば検討出来るかも知れません。
こう書いてしまうと、妥協をしてアルミカットパネルから曲げパネルにグレードを落とす、みたいなネガティブな感じになってしまいますが、そんな感じでは決してありません。
外壁として金属パネルを使用したい場所で、カットパネルが適していない場所もあるので、色々な選択肢のひとつとしてアルミ曲げパネルが用意されている、という事です。
納まりについて考えていくと、カットパネルも曲げパネルも正面からビスで止めるという考え方になるので、そこはそれ程大きく変わることはありません。
ただ金属全般として見た時には、板を曲げて納めていくという考え方が多く、アルミ曲げパネルの納まりパターンはかなり一般的な納まりと言えます。
こうした納まりの考え方はアルミパネルだけではなく、別の金属パネルの納まりでも適用できることになるので、まずは基本納まりを覚えておくことをお勧めします。
スチールパネルやステンレスパネルの納まりについては次回に説明をしていく予定ですが、その際の納まり図を見るとあまり違いがないことが分かるはずです。
アルミ曲げパネルはコスト的なメリットがある(カットパネルよりも比較的安価)という話でしたが、こうしたメリットがそのまま全ての方向で有利に働く訳ではありません。
これは当たり前の話ですが、念のため押さえておいた方が良い知識ではあるので、ここで簡単に説明をしていくことにします。
コスト的なメリットがある代わりに、アルミ曲げパネルにはアルミカットパネルのようなエッジを出す事が出来ないという特徴があるので、意匠的にちょっと弱い部分があるんです。
このあたりの違いというのは意匠的にかなり致命的になる場合もあるので、採用する場所によってそのあたりの見せ方を意識した区分が必要になってきます。
左側に作図したアルミカットパネルと、右側に作図したアルミ曲げパネルと、やはり意匠的にはアルミカットパネルの方が優れていると言わざるを得ません。
アルミパネルは2mm程度の厚みになるので、曲げる部分でどうしてもRが大きくなってしまいがちで、角がシャープに見えないんですよね。
あとはシールの色をどうするか、という話になってくるのですが、これはアルミ曲げパネルの色と比較して選定していく事になります。
一般的にはアルミパネル色よりも少し暗い色が無難かも知れません。
ちょっと大雑把だったかも知れませんが、アルミカットパネルとアルミ曲げパネルに違いについてはこんな感じで終わりにしておきます。
見た目を重視するならカットパネルを採用した方が良く、シール納まりでもも良い場合にはアルミ曲げパネルを採用する、という感じですね。
こうした特徴を踏まえて適切な仕上材を選定していくのは意匠設計者の役割なので、正しい判断が出来るように、ある程度は知識を蓄えておいた方が良いと想います。