前回は石や金属パネルなどを固定する為の下地として、鉄骨で構成する壁下地の納まりなどについて説明をしてみました。
使用頻度はそれ程高い訳ではありませんが、壁以外でも重量のある何かを取り付ける際には同じような納まりが登場するので、覚えておいて損はない納まりです。
今回は引き続き鉄骨壁下地についての話を続けることにして、最終的な壁仕上材を取り付ける際の注意点について考えてみることにしましょう。
まずは下地となる鉄骨の部材について。
重量のある石を固定する為の壁下地として構築するには、角パイプの厚み3.2mmとか溝型鋼の厚み5mmなど、結構厚みのある部材を採用する事が多くなります。
もちろん壁仕上の重量などを計算して適切な下地を組んでいく事になりますが、その結果として肉厚の部材が選定されることになるはずです。
そうした部材を選定してあげる事によって、壁下地としての強度を保つという考え方になる訳ですけど、その鉄骨の部材厚がここで問題になります。
下地としての強度を保つためには肉厚の部材が必要になりますが、厚みがある部材にはビスでの固定が出来ないという問題があるんです。
金属パネルなどを固定するには下地に対してビスを打つことになるのですが、相手の厚みがありすぎるとビスを打つことが出来ません。
かと言って手間とか見た目などを考えると、壁下地に対して金属パネルを溶接で固定するなどの荒っぽい事をする訳にはいきません。
現実的な解決方法としては、肉厚の壁下地に対して厚みが少ない部材を流しておき、その部材に対してビス固定していく、という考え方があります。
壁を固定する為の下地として鉄骨をたてる訳ですが、その下地に何かを固定する為にはビスが使えない、というのは困るので、こうした納まり調整をしていく事になります。
下地のメインとなる部材はある程度の強度を持たせておき、そのメイン部材から出す下地は仕上材をビス固定する為に肉厚を薄くしておく、という考え方ですね。
あまりないとは思いますが、こうした考え方を無視して壁下地を作ってしまうと、どうやって固定すれば良いのかという感じの苦情が来たりします。
こうした鉄骨の壁下地を検討する際には、最後になる仕上材をどのように固定するのか、というあたりも考えておく事が重要だという事になる訳です。
どのレベルに固定するのかなどによって、下地の形状は色々と微妙に変わってくることになるはずなので、最終形から追いかけて下地を決めていく事が求められます。
これが例えば内壁がALCやECPの場合であれば、上下の床コンクリートに固定することが出来るので、こうした鉄骨下地は必要ないという話になります。
しかしそこまで1枚の部材で伸ばす事が出来ない石や金属パネルの場合、どうしてもこのような手骨の下地が必要になってくるんです。
金属パネルの場合は、こうした鉄骨下地をたてて固定していくのではなく、次回説明する予定のLGS+石膏ボード壁に接着貼りで納めるという考え方もあります。
なぜそうするかというと、LGS+石膏ボードの納まりが内壁では圧倒的な割合で採用されるので、下地までは同じにしておく方が効率が良いから。
もちろん外壁では接着貼りを採用することは出来ませんが、内壁であればクロスなどの代わりに金属パネルを貼るという選択肢は結構あるはずです。
こうした「貼りもの」は金属パネルだけではなく、例えばアイカ工業の「セラール」などのような塩ビ系の製品も選択肢としてある訳です。
接着貼りとした場合、製品の厚み分(大体4mm程度です)とかしか目地の深さが取れないという欠点はあるものの、手軽さで言えばこれ以上のものはありません。
このあたりの話は次回説明するLGS下地+石膏ボードの納まりで詳しく説明していくことにして、壁下地鉄骨についての話はこれで終わりにしておくことにします。