壁仕上げを石にする場合の納まりについて説明をしていく中で、壁下地の施工精度を吸収する為の納まりにしておく、というような話がありました。
建物を実際に施工していく中では、図面で検討したとおりにキッチリとした寸法が実現出来る訳ではなく、ある程度施工精度によるずれが発生する訳ですが…
最終的な仕上の納まりを検討する際には、そうした施工精度の悪さを吸収していくことが可能な納まりにしておく、という事が重要になってきます。
ただしそれはあくまでも「ある程度の施工誤差」であって、すべての施工精度を吸収する納まりにするのは難しいというか非現実的でもあるので注意が必要です。
何事もバランスが重要ということなのでしょう。
図面で検討をしていると余分な寸法を見込むことに違和感を感じることがありますが、おそらくそうして設けた余分な寸法は、施工をする人から見たら少ないのだと思います。
検討する側と施工する側のどちらも少しずつ違和感を感じるあたり、というのが現実的な落としどころという事になるのかも知れません。
さて、石についての話はこれで終わりになりますので、今回からは壁仕上材としてタイルを取り上げていくことにします。
石に比べると製品が小さい分だけ納まりがシンプルになる傾向にありますが、製品が小さい分だけ別の問題点が出てきたりもします。
壁タイルはそうした難しさというか面白さがあるので、そのあたりも含めて色々と説明をしていこうと思っています。
タイルの種類はいくつかある、という話は床仕上について説明した際に取り上げたので、ここで同じ説明をすることは避けておきます。
もし床仕上材でタイルについて説明している部分を読んでいない場合には、以下のリンクからざっと読んでおくと話がスムーズかも知れません。
壁仕上材としてタイルを選定した場合の納まりですが、基本的には壁下地に対して接着剤もしくはモルタルで貼っていく納まりパターンが多いです。
石仕上の説明で少し取り上げた「湿式工法」になる訳ですが、接着貼りが可能なのはタイルが石ほど大きくないので重量がそれほど重くないから。
壁下地とタイルとの関係は上図のような納まりになるので、納まりとしては割とシンプルではないかと思います。
ただし、シンプルな納まりとは言っても全て同じ納まりになる訳ではありません。
上図はタイルの厚みが6mmの場合の納まりで、製品によって少しずつタイルの厚みが違ってきているので、それに合わせた仕上代の設定が必要になってきます。
基本的にはタイルのサイズが大きくなる程厚みが増していくことになるので、場合によっては6mmではなくもう少し分厚いタイルになることも。
特に外壁として採用されることになるタイルであれば、10mmを超えるタイルになる場合もあるので、仕上面をキッチリと押さえておきたい場合には注意が必要になります。
仕上面を押さえておきたい場合というのはどのような状況になるのかというと、タイルの割付という言葉がここで出てくる事になります。
タイルはその製品毎に大きさが決められているもので、石のようにこちらで指定した大きさで製作することが出来ません。
そこが石とタイルの大きな違いという事になるのですが、大きさが決まっているからこそ色々と考えておかなければいけないことも出てくるんです。
…と、ちょっと回りくどい説明になっていますが、色々と考えておかなければならない事というのがタイルの割付という話でした。
タイルの割付についてはちょっと色々な要素が絡むので、もう少し後で説明していくことにして、次回は壁下地による納まりの違いについて少し考えてみることにしましょう。