壁仕上材として金属パネルを採用する場合の具体的な納まり、そしてそれぞれの金属パネルがどのような特徴を持っているのか、という話を今まで取り上げてきました。
色々な表情を持たせることが出来る金属パネルは、意匠的に力を入れたい場所で活躍することになるはずなので、納まりを含めてそれぞれの特徴を押さえておく事をお勧めします。
さて、金属パネルについての話は長くなってしまったのでこれで終わりにしておき、引き続き壁仕上材についての話を進めていきます。
今回はちょっと一般的な仕上材になってしまいますが、壁仕上材として「ビニルクロス」について色々と考えてみる事にします。
まずはビニルクロスの特徴にはどのようなものがあるのか、という部分から。
・様々な色や柄の製品が用意されていて選択肢が多い
・調湿効果や防カビなど性能の選択肢も多い
・比較的安価である
・施工性が良い
・物をぶつけた際に剥がれる可能性がある
ビニルクロスは多種多様なラインナップが用意されているので、気に入った色や柄、そして求められる性能などを満たした商品が選定出来る可能性がかなり高いです。
それにプラスして比較的安価な製品であり、なおかつ施工性も良いという特徴を持っているので、一般的な部分で採用されることが多い仕上材になっています。
コスト的に安価であることもあって、見た目としては石や金属パネルに比べるとどうしても「普通」という感じになってしまいます。
しかし建物の壁全部がちょっと変わった壁である必要はありませんので、適切な場所に適切な仕上材を選定する際に、ビニルクロスはなくてはならない仕上材だと言えます。
通常の執務をする事務室だとか、常時人がいるわけではな倉庫などの壁を一風変わったものにする必要はなくて、まずは壁としておかしくない程度の見た目が求められます。
そうした部屋であれば、シンプルなビニルクロスを選定することによって、コスト的にも施工的にもメリットがあって、さらに見た目も悪くないという事に。
このような感じで、ビニルクロスというのは色々な部屋の壁仕上材として採用されやすい、という特徴を持っています。
ちなみにビニルクロスにはたくさんの色や柄が用意されていますが、なかなか派手な感じのビニルクロスを選定することは難しかったりします。
上記はビニルクロスの選択肢のほんの一部になりますが、こうして見るとなかなか色々な商品があるものだと関心してしまいますよね。
このような選択肢があるにも関わらず、結局は白系の無難なタイプを選定する事になる場合が多いのですが、これは恐らく私だけがそうなる訳ではないと思います。
居酒屋などの店舗デザインに携わっているとかであれば話は少し違ってくるとは思いますが、なかなか真っ赤なビニルクロスを貼るような部屋ってないですからね。
そんな特徴を持っているビニルクロスですが、納まりとしては非常にシンプルなものになるので、特に悩んでしまうようなことはありません。
基本的にビニルクロスは石膏ボードの上に施工されることになり、当然壁下地としてはLGS+石膏ボードになる場合が大半になると思います。
石膏ボードに対してビニルクロスを貼っていくことになる訳ですが、ビニルクロスの厚みも少しだけあるので、壁厚としては接着剤とクロスの厚み分だけ出てくる事になります。
しかし元々ビニルクロスの厚みは薄いので、壁厚としては1mmくらい大きくなる程度の話になり、特に納まりとして問題になることはありません。
ビニルクロスはある程度巾が決まっている商品になるので、壁全面にクロスを貼っていく中では、クロスのジョイントがどうしても出てきます。
ジョイント部分は基本的に突付け納まりになっていて、腕の良い職人さんが仕上げると、ジョイントはほとんど目立たない状態になってくると思います。
【図面】
壁の納まりを検討する際には、こうしたビニルクロスのジョイントは消えてしまい、最終的には見えることを前提にしていく場合が多いです。
実際にビニルクロスが施工された状態を見ると、特にビニルクロスのジョイントは気にしなくても良いかな、という結論になるはずです。