前回はLGS下地+石膏ボード壁の性能として「耐火性能」と「遮音性能」の壁納まりを一例として紹介してみました。
特に遮音性能を持っている壁の納まりは色々なパターンがあるので、LGS配置の考え方などを含めて基本的な考え方を押さえておきましょう。
遮音性能は基本的に、石膏ボードの質量が大きい事と、壁の両側をLGSでつなげない事、そしてLGS内に出来るだけ密度の高いグラスウールを入れる事がポイントになってきます。
ということで、今回は遮音性能をもった壁に必須の存在である「グラスウール」とは何か、というあたりの話を取り上げてみたいと思います。
まずはそもそもの話として、グラスウールという材料がどのようなものなのか、という所からスタートしてみましょう。
グラスウールとは、ガラス繊維で出来ている綿のような素材で、建物内でも様々な場所で使われていて、主に吸音材として利用される事が多い材料になります。
上記がグラスウールになりますが、例えば解体している建物とかでこのグラスウールの姿を見かけたりするので、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
グラスウールのイメージとしては、綿菓子にちょっと近いものがあります。
綿菓子を製造する際には、ザラメを温めながら回転させることによって細い砂糖の繊維にして、それを割り箸とかでキャッチして作っていきます。
これは誰しもが一度はやったことがあると思うのでイメージしやすいですよね。
グラスウールの作り方の原理もほぼ同じで、溶かしたガラスを小さい穴があいた容器に入れ、その容器を高速回転させる事によって穴からガラスを飛び出させて作ります。
穴の径は非常に小さいのですが、遠心力によって溶けたガラスがその小さな穴から飛び出してくるので、それを集めていく事でグラスウールになる訳です。
グラスウールは断熱・吸音・防火性能に優れているので、LGS+石膏ボードの壁であれば、石膏ボードと石膏ボードの間に詰めることによって、高い遮音性能を持つ壁が出来上がります。
このグラスウールの性能抜きに遮音性能を保つことは出来ませんので、恐らく遮音性能のスペックが高くなればなる程グラスウールの役割は大きくなってくる事になります。
遮音性能を持った壁としてさらに性能を高めたい場合には、石膏ボードの表面にグラスウールを張っていく場合もあります。
壁の表面で音を吸収しておき、さらに壁を通り抜けようとする音をLGS内にあるグラスウールや石膏ボードで低減していく、という考え方です。
これが壁の表面に張っていく一般的なグラスウールになっていて、見た目があまり良くないという特徴があるのでで機械室などで採用される事がほとんどです。
さすがに黄色い壁というのは厳しいですよね。
機械室ではなくもう少し意匠的に気を遣いたい部屋であれば、上記のようなグラスウールボードも製品としては存在します。
グラスウールに綺麗な布を巻いた製品で、もちろん布の色はいくつかのバリエーションがあって、部屋の雰囲気に合わせて選択することが出来ます。
壁としての見た目はこのグラスウールボードの方が全然良くて、これなら通常の部屋にも採用出来るという事で、部屋に吸音性能が求められる放送室やスタジオなどで採用されます。
グラスウールボードという製品として色々な布のバリエーションがあるとは言っても、白以外の色を選ぶのは結構勇気がいるかも知れませんが…
グラスウールについての話はこんなところです。
壁下地として石膏ボードの話も終わってきた感じなので、次回からは壁の仕上についての話に入っていくことにしましょう。