このカテゴリでは床仕上げの種類や納まりについて色々な話を取り上げて来ましたが、前回からは今まで説明してきた話のまとめに入っています。
今回も引き続き床納まりのまとめという事で、ちょっと特殊な床の納まりについて色々と考えてみたいと思います。
床仕上材によって床コンクリートを下げるかどうかの確認が出来たら、次のステップとして特殊な床下地がないかを確認していきます。
床仕上材と特殊な床下地の範囲を把握して、そこでようやく床コンクリートを下げておく範囲を決めていくこと出来るようになります。
・水を使用する部屋であればアスファルト防水が必要
・事務室系であればOAフロアが必要になる場合もある
・防音性能が必要な部屋であればスペックによっては浮き床が必要
・場所によっては床暖房を採用する部屋もある
というような感じで、それぞれの部屋によって上記のような床の性能が必要にならないかを確認していく事になります。
ただし、事務室だから必ずOAフロアがある訳ではなかったり、水を使う部屋であれば必ずアスファルト防水が必要などの区分が結構大変だったりします。
事務室系の部屋では部屋の規模やどのように使うのか、そして最終的にはコストを考えてOAフロアを採用するかを判断するのは設計者の役割です。
そうした判断の中で、必ずしもOAフロアが正解という訳ではない場合もあるので、そのあたりの判断が難しくなる場合もあります。
しかし浴室など大量に水を使用する部屋であれば、間違いなくアスファルト防水が必要になって来るので、そのあたりで判断を迷う必要はありません。
下階に水を漏らさないようにするというのは、建物の基本的な性能になっていて、このあたりは施工者側も当然確認していきます。
水漏れ関連のトラブルが発生した場合には、どのような設計図になっていたかに関わらず、施工者側にクレームが出る事になってしまいます。
施工者は施工のプロですから、設計図の内容がどうであれ水が漏れるような建物を造る訳にはいかないので、そのあたりには非常に敏感に反応します。
こうしてそれぞれの部屋に対しての床仕上材を確認していき、それとリンクするかたちで床コンクリートのレベルを決めていく事になります。
これによって、まずは鉄骨などの構造体レベルを明確にしておく、という納まりの流れが何よりも重要になってくるんです。
構造体レベルを決めた後でも、恐らく色々な打合せによってプランが変更になる場合がありますから、その都度構造体に影響がないかを確認していく必要があります。
せっかくこうして検討をした部分については、様々な変更があったとしても、最後まで追いかけて整合を取っていくことが非常に重要になります。
そうしないとせっかくの検討が無駄になってしまう場合もあるので、色々な変更に合わせて粘り強く整合を取っていく、というのが施工者の役目になります。
実際にやってみるとよく分かりますが、本当に「粘り強く」という表現がぴったりくるような、地道な調整が続くことになるんです。
こうした考え方は、このカテゴリで取り上げた床仕上材の納まりについての話だけではなく、あらゆる部分で同じ事が言えます。
建築の納まりを検討していく中では、このあたりを強く意識しておくことをお勧めします。
と言うことで、これで床仕上関連の話はひとまず終わりになります。
もう少し深く掘り下げて説明をする機会が来るとは思いますが、床の納まりばかり詳しくなっても仕方がないので、次は壁の納まりに進んでいくことにします。