前回は床仕上材としてフローリングについて取り上げていき、フローリングが持っている大きな特徴についていくつか紹介をしてみました。
石にも全く同じことが言えると思いますが、木という自然の中にある本物の材料を建物に使うというのはやはり良いものですよね。
そうした自然な木目を材料として持っているフローリングという床仕上材は、それだけで意匠的に大きなメリットを持っている、という事が言えるでしょう。
とにかくフローリングは見た目が全てです! という表現はかなり極端過ぎて違いますけど、雰囲気や見た目が大きな要素になっていることは間違いありません。
木ならではの特徴として、石やタイルなどに比べるとどうしても柔らかいので、表面に傷やへこみが出来やすいという問題もあります。
もちろん木の素地そのままをフローリングにしている訳ではなく、表面にコーティングをかけたりもするのですが、材料が持っている特徴を全てなくすことは出来ないんですよね。
ただ、これはもう仕方がない事だと思うしかありません。
本当に傷やへこみが気になるのであれば、ビニル床タイルの中に木目調の商品がありますから、そこから柄を選定することも出来ます。
そうすると見た目は木だけど傷が付きにくい状態になるので、木が本物ではない事だけを我慢すれば性能としては問題がなくなります。
でもこの「本物の木ではない」というあたりが大きな問題だったりするので、そう簡単にはいかない事は私も分かってはいますが…
本物の木を採用するのであれば、木が持っている特徴がある程度フローリングには出てしまう事も許容出来るのではないかと思います。
こうした床が傷つきやすいという特徴は、床仕上材としてはかなりのマイナスになるはずですが、そうした欠点がありながらもフローリングは採用されることになります。
やはり仕上材としての雰囲気が良く、意匠的に優れているというのはそれだけで大きなアドバンテージになるのだなと、特徴を説明している中では感じました。
今回からはそんなフローリングが実際にはどのように納まるのか、というあたりについて説明を進めていくことにしましょう。
まずは床仕上材本体の厚みから考えてみると、フローリングの厚みというのは、メーカーが用意している商品によって少しずつ違ってきます。
個人的な意見としてはいまひとつ納得いかない部分もありますが、一般的にはフローリングの板厚が厚い商品は高級なグレードということになっています。
一度床に張ってしまえば厚みはもう確認出来ない、という気がするのですが、それでも厚さのあるフローリングを採用する場合は結構あります。
まあフローリングが厚いと「歩行感」が違うという可能性もありますが、あくまでも設計者のこだわりに過ぎないという気もしています。
このあたりのグレード感については、私がどうこう言えるような話ではなく、やはり様々な商品と同じでスタンダードタイプがあってハイグレードタイプがあるという感じになります。
具体的な数字で言えば、通常のフローリングであれば大抵は12mmの厚さがあって、ハイグレードタイプのフローリングであれば19mm程度になります。
この7mmの違いでどう変わってくるのか…という気もしますが、恐らくハイグレードタイプは厚みだけではなく木のグレードも高かったりするのでしょう。
木というのは自然の素材ですから、中には「節」と呼ばれる見た目があまり良くない部分が存在するのですが、それを排除したグレードの商品もあります。
当然そうした商品の方が高くなる訳で、やはり見た目が良くなる事とコストアップというのはほぼセットになっているという事でしょう。