前回は特殊な床下地のひとつであるOAフロアがどのようなものなのか、そしてどんな特徴を持っているか、というような話を取り上げてみました。
床下にOAフロアと呼ばれる配線スペースがある場合と、特に床コンクリートが下がっていなくて配線をコンクリートの上で考えなければならない場合と。
その違いによるやりやすさというか格差は非常に大きいんです。
例えば事務室であれば、人数が増えて机のレイアウトを変更したい、というようなことがあった場合に、OAフロアの有無によって配置変更のやりやすさが全然違います。
もちろんOAフロアによって配線が床下を通せる場合と、床コンクリートが下がっていない為、床上に配線を通してモールで処理する場合とで、見た目が全然違ってくる訳です。
モールというのはこんな形状のものですから、決して見た目が良いとは言えない、という事は伝わるのではないかと思います。
こうした色々を考えると、事務室など人が集まって業務をおこなうような部屋であれば、OAフロアにしておいた方が便利だという結論になります。
もちろんコストなどの問題もあるので無責任にOAフロアをお勧めすることは出来ませんが、建物の使い勝手を考えるとやはりOAフロアはあった方が良いでしょう。
と言うことで、今回は引き続きOAフロアについての話を進めていこうと思っていますが、OAフロアの具体的な納まりがどのようになっているのか。
今回はそのあたりについて検討をしていこうと思います。
高さとか材質などは色々ありますが、OAフロアの基本的な納まりは下図のようになります。
床コンクリートをどの程度下げておくかは、OAフロア内にどの程度配線が通るかによって変わってくるのですが、一般的な事務室であれば100mm下がっていれば充分です。
これが電算センターのサーバー室などであれば、恐らくとんでもない物量の配線があるはずなので、100mm下げただけではどうにもならないはずです。
そうした床コンクリートレベルとの関係については、部屋の条件をきちんと調査して決めていく必要がありますが、商品としては高さ500のOAフロアもあるので納まりとしては問題ありません。
ただ、仮に500mmの配線スペースが必要という事になった場合には、大きく床コンクリートを下げておく必要があります。
そうなるとその範囲に絡む梁も下げていく必要が出てきて、確実に下階の天井との関係が厳しいものになっていく…
というような流れで建物の納まりは決まっていく事になります。
そうした場合は設計段階から部屋の場所をどこにするかを検討して、下階に影響が出ない、もしくは影響が出にくい計画をしていく必要があります。
施工段階でそうした検討をする事も可能ですが、構造体のレベルを大きく調整していく必要が出てくるので、手間としてはかなりのボリュームになってしまいます。
出来ない事も当然増えていくことになるので、出来ればこうした検討は設計段階で済ませておく方が絶対に良いはずです。
このように、OAフロアの納まりを見ていくと、OAフロアの納まり自体は特に難しいという訳ではない、ということが分かるかと思います。
ただ、OAフロアをどこで止めるか、壁との関係をどう考えるかなどを突き詰めていくと、意外に悩んでしまう事もあるはずです。
こうした話は壁と床の取合いについて説明をする際に、問題点や検討ポイントなどを含めて取り上げようと思っています。
なので、ここでは壁との関係について考えるのはやめておいて、床納まりとしてOAフロアの考え方と納まりをしっかりと覚えておくことにしましょう。