「石」と一言で表現してしまうと色々な意味合いがありますが、建築材料としての石というくくりにすると種類は結構限られてきます。
御影石(花崗岩)・大理石・石灰岩(ライムストーン)という石種があって、本当に簡単ではありますが、それぞれの石種が持っている特徴について前回は紹介してみました。
御影石というくくりの中にも様々な色と柄があって、同じように大理石というくくりの中にも様々な色と柄があり石灰岩にも色々ある。
石種にくくりとしてはあまり種類が多くはありませんが、結局は様々な色と柄の石を仕上材として選定していくことが出来るんです。
上記写真は大理石のひとつ「ティーローズ」と呼ばれる石ですが、この石がしっくりくるような空間というのはなかなか難しい気がしますよね。
それこそ意匠設計者の腕の見せどころという感じがしますが、正直言って私のスキルではこうした個性的な石を生かすことが出来そうにありません。
どうしてもお肉みたいに見えてしまいそうで…
基本的に大理石は本磨きで仕上げることになりますが…みたいな話を前回もしましたが、本磨きが何なのかという話を取り上げることは出来ていませんでした。
石というのは磨き方によって様座万表情を見せてくれるので、意匠設計者は石種の他に表面仕上げをどうするかもきちんと指定していく事になります。
と言うことで、石の磨き方や表面処理の種類にはどのようなものがあるのか、というあたりの話を今回は考えてみることにします。
まずは石の主な表面処理方法を箇条書きにしてみると、以下のような分類になっていて、まずまず色々な種類があることが分かります。
・本磨き
・水磨き
・レザー仕上
・JB(ジェットバーナー)仕上
・JP(ジェット&ポリッシュ)仕上
・ウォータージェット仕上
・ショットブラスト仕上
・サンドブラスト仕上
・ノミ切り仕上
・ビシャン仕上
・小叩仕上
・割肌仕上
石というのは天然素材ですから、表面をつるつるにする処理をしたとしても、ある程度荒々しさを残した仕上にしたとしても、基本的には見えてくるのは石だけです。
表面に見える部分だけが綺麗な素材になっているとか、下地は見えないから別の材料になっている、という訳ではないというのが天然素材の大きな特徴です。
だからこそ色々な表面仕上が出来る訳で、このあたりが表面材だけを張っているような仕上材とは全然違う部分でもあります。
表面だけではない本物を使っているという感覚が石にはあって、それが部屋の高級感を醸し出しているのではないかと思います。
と言うことで、ここでは上記の表面仕上方法について、個別にもう少し詳しく説明をしていくことにしましょう。
□本磨き
石の表面をダイヤモンド砥石で自動的に研磨していく表面処理方法で、細かく磨いていく事で石の色合いや柄などが非常にはっきりと表現されていきます。
表面に光沢がある仕上がりになる為非常に美しいのですが、その反面水に濡れると滑りやすくなるので床仕上材の表面処理には向きません。
壁仕上材としての石であれば、大抵の場合は本磨き仕上が選択されることになる、というくらい一般的な表面処理と言えます。
表面に光沢があるので、鏡のように反射して自分の姿が映ったりする場合があるので、あまり反射させたくない場合には注意が必要です。
それくらい綺麗に磨かれるという事ですね。
□水磨き
本磨きと同様にダイヤモンド砥石で石の表面を研磨していく表面処理で、本磨きに比べて少し粗く磨いていくやり方を水磨きと呼びます。
本磨きに比べると粗く処理している関係で、石材の色合いや柄は本磨きほど明確に表現されない状態になります。
先ほど紹介した本磨きが艶出し仕上なら、水磨きは艶消し仕上というイメージになります。
艶がない=美しくない、という事には全然ならなくて、艶がない方が落ち着いたイメージになるので、よく使われる表面処理でもあります。
ただし、本磨きほどではないにしても、表面はかなり凹凸がなくなるので、滑りやすいという理由で床ではあまり採用されない表面処理です。
壁をあまり反射させたくない場合とか、本磨きの中にアクセントとして水磨きを入れるなどの使い方をされることも多いです。