前回は床仕上材としてタイルが持っている特徴についてという話と、以前紹介した石との大きな違いについて取り上げてみました。
商品として大きさがあらかじめ決まっている、という特徴は、タイルの納まりを検討していく上で結構重要な要素になっていくはずです。
タイルの納まりを検討するのであれば色々な調整が出来る工事の序盤がお勧めです。
そうしないと少しずつ調整出来る項目が減っていくことになって、最終的には石と同じように、決められたスペースでタイルを割り付けていく事になってしまいます。
これはタイルの納まり検討としては何としても避けたい状況だと言えるでしょう。
決められたスペースにタイルを貼っていくことになる訳ですが、タイルの大きさがあらかじめ決まっている、という事が何を意味するかというと…
タイルの大きさは変えられない訳ですから、「決められたスペースを微調整」した方が綺麗に納まる、という事を意味している訳です。
ただ、タイルのサイズに合わせて壁の位置を調整すると、最悪の場合は床を下げておく範囲まで変わってしまう可能性があるので、そこは慎重に検討するしかありません。
壁の範囲は自由自在に調整することが可能かも知れませんが、時期によってはそのような調整がすでに無意味という場合もありますから。
このあたりの「タイル割付」についての話は改めて取り上げることにして、ここではまず、タイルの大間かな種類の区分について紹介してみる事にします。
タイルには大きく分けて三種類の分類があって、どのようなタイルであっても下記のいずれかの分類にカテゴライズされます。
・Ⅰ類(磁器質タイル)
・Ⅱ類(せっ器質タイル)
・Ⅲ類(陶器質タイル)
ちょっと二種類の名称を書いてしまいましたが、これも日本工業規格(JIS)の分類が変わってしまったからで、あまり分かりやすくなっていない状態です。
このあたりのわかりにくさはビニル床タイルの改正と同じで、どうにも分かりにくい状態になってしまったような気が個人的にはしています。
Ⅰ類などのいまひとつピンと来ない名称が改正されたJISでの表現になっていて、()内の言葉が昔の分類という感じになっています。
これらの種類はどのように違ってくるのかというと、大雑把に分類してしまうとタイルの生地が持っている吸水率の違いという事になります。
Ⅰ類 : 吸水率3%以下のタイル
Ⅱ類 : 吸水率10%以下のタイル
Ⅲ類 : 吸水率50%以下のタイル
ちなみに旧JISで表現するとこのような分類になります。
磁器質タイル : 高温(1250℃)で焼かれた吸水率1%以下のタイル
せっ器質タイル : 高温(1200℃)で焼かれた吸水率5%以下のタイル
陶器質タイル : 低温(1000℃)で焼かれた吸水率22%以下のタイル
本当はⅠ類=磁器質タイル、Ⅱ類=せっ器質タイル、Ⅲ類=陶器質タイル、という読み替えになりますよ、と言いたいところなのですが微妙に違うんですよね…
基本的には磁器質タイルなどの吸水率が少ないタイルを外部に使用して、吸水率が大きいタイルは内部に使用する、という考え方になります。
ただ、前回も書きましたが、タイルというのは決められた商品がある中で、その中からどのタイルを選定するかを選ぶ事になります。
なので、外壁タイルだから磁器質タイルを選ばなければ、いや、今の基準だとⅠ類だったか…みたいな考え方でタイルを選定する必要はないかも知れません。
上記のように、タイルのカタログを見ると「どこに採用すると良いか」がきちんと記載されているので、床に適しているタイルであれば自然と滑りにくい表面になっていたりします。
メーカーが製造している商品ですから、こうしたきめ細かいサービスが充実している、というのも石とは少し違っている部分かも知れないですね。