前回は床仕上材として採用されるフローリングの話として、厚みの違いやグレード感の違いについて少しだけ考えてみました。
厚みがある商品の方が高額になる傾向にある、というのは割と自然な事なので、それほど違和感を感じないのではないかと思います。
これは当たり前の話ですが、値段が高いものには何らかの理由があって、その理由が適切なものであれば他との違いが際立つことになる、という単純な話があります。
違いが際立つことによって、ハイグレード商品を選定した部分には特別感が出てくることになる、というあたりにメリットがあるのだと思います。
あまり違いを生み出さない部分にコストをかけてしまうと、値段は高いけれど違いが分かりにくいという事になってしまいます。
恐らくそうした商品は売れないことになりますが…
もちろんメーカーはそうした無駄な事はしませんので、高い商品にはやはりそれなりの違いがある、ということが言えると思います。
…と、少し話が逸れましたが、フローリングの納まりについての話に戻りましょう。
フローリングというのは商品によって少し厚みが違っていますが、一般的な厚みは12mmということになります。
また表面のフローリングだけではなく、その下地として12mmの合板(ベニヤ)が必要になる場合がほとんどで、合計2枚の板を床コンクリートの上に張ることになります。
イメージはこんな感じ。
12mm合板の上に12mmのフローリングを張っていくことになるので、図面上のコンクリートレベルはFL-24という事になる訳ですが…
床コンクリートの天端レベルがきっちりFL-24で揃っているかというと、タイルの説明をした時にも書きましたが、現実はなかなか難しいものです。
なので上図の納まりはちょっと絵に描いた餅状態で、実際の施工精度などを考えるともう少し大きめに下げておく必要があります。
また、タイルの時と同じように、床コンクリートのレベルを決める際にフローリングの厚みが決まっている訳ではない、という事も考えておくと…
上図のように少し大きめに床コンクリートを下げておいて、施工精度の問題とフローリングの品番が決まっていない事に対して余裕を見ておく納まりが正解になります。
あまり余分に下げておくと、後でモルタルでレベルを上げていくのが大変になるので、下げすぎず上げすぎずというバランスを見ながら床コンクリートのレベルを決めていく事になります。
構造図などを見るとフローリングを張る部分について、床コンクリートの天端レベルがFL-50になっていたりするのですが、これは少し下げすぎでしょう。
フローリング19mm+合板12mm+モルタル4mmで考えてFL-35程度が適切ではないかな、と私は考えています。
これならフローリングが12mmになっても対応が出来るし、最も厚くてもモルタル塗り代が4mmあるのでレベルの調整も何とか出来るし、という感じです。
もちろんこうした考え方はケースバイケースで、フローリングの厚みが12mmで確定しているのであれば、FL-30に設定しても大丈夫だと思います。
こうした判断をするには、それぞれの仕上材や下地がどの程度の厚みになっているかを理解しておき、実際の施工精度がどのくらいなのかを知っておく必要があります。
なので、フローリングの場合はFL-35にするとかで覚えるのではなく、それぞれを構成する断面をきちんと理解しておく事が重要です。
それが出来ていれば、あとはいくらでも応用がききますから。
と言うことで、フローリングの納まりについての話はこのあたりで終わりにして、これで床仕上材の説明は一通り完了という事になりました。
次回からは床仕上材の都合で床コンクリートを下げておくのではなく、特殊な納まりが必要なので床コンクリートを下げておく場合がある、という話をしていくつもりです。