ちょっと長くなってしまいましたが、前回まででビニル床タイルの細かい分類毎の特徴について説明をすることが出来ました。
床仕上材のひとつであるビニル床タイルだけでこんなに色々な話がある、というのはなかなか面白いもので、やはり建築関連の知識というのは奥が深いものです。
これはビニル床タイルに限った話ではありませんが、本当に様々な目的や用途にあわせて商品が開発されていので、選ぶ側としては選択肢が多くて助かります。。
色とか柄なども建物にとっては重要な要素ではありますけれど、その前にどのような性能を持った床仕上材なのかという方が重要になるので、そこをまずは押さえておきたいところです。
例えば喫煙室などでは熱に強い商品を採用しないと床仕上材がすぐにダメになってしまうし、サーバー室などであればすぐに剥がせる事と帯電防止性能は必須でしょう。
それぞれの部屋に求められる性能を満たした床仕上材を選定して、なおかつ色もその部屋にマッチしたものにしていく、という業務が設計者の役割になります。
そうした選定をする為には、ある程度床仕上材の分類を頭に入れておく必要がありますので、今まで紹介してきた内容を覚えておくことをお勧めします。
どのような床仕上材が適切かという事を考えながら色々調べていく中で、自然と覚えてしまうことだとは思いますが…
施工者としては、基本的に設計者が選定した床仕上材を発注して現場で張っていく、という役割を担うことになるので、そこまで床仕上材の仕様に詳しくなくても大丈夫です。
しかし、実際に自分で発注することになる床仕上材について、ある程度どのようなものか知識を持っている必要はあるので、こちらも自然に覚えてしまうとは思います。
床仕上材について深い知識を持っていれば、設計者が床仕上材の選定で少し違う選択をしたとしても、確認を取ることも出来るというメリットもあったりします。
と言うことで、ちょっと長くなってしまったので、ビニル床タイルの基本的な納まりを紹介して、そろそろ次の床仕上材についての紹介に進むことにしましょう。
まずは床コンクリートの接着する一般的な納まりから。
厚みは少し違いますが、床コンクリートの接着するという考え方は長尺塩ビシートと同じですから、納まりとしてはほぼ同じということになります。
まずはこの納まりがビニル床タイルの基本という感じです。
次に、置敷きビニル床タイルなどで採用される、床下地がコンクリートではなくOAフロアになった場合の納まりがこちら。
OAフロアがどのくらいの高さで必要なのかというのは、部屋の仕様によって色々になりますが、一般的な事務所などであれば100mmで充分でしょう。
サーバー室などになると配線の量が事務室とは段違いに多くなりますから、300mmとか500mmくらいの高さが必要になってきます。
…が、今回紹介しているのはあくまでもビニル床タイルの納まりなので、一般的なOAフロアの断面で納まりを紹介しました。
あとは薄型置敷きビニル床タイルの納まりとして、例えば古くなったフローリングの上にビニル床タイルを貼っていく場合はこんな感じです。
多少床天端レベルが上がってしまいますが、2mm程度であればドアが開かなくなるなどの問題はありませんので、構わず上から張ってしまって大丈夫なんです。
これが6mmとかになると少し影響が出てしまう可能性があるので、そういった意味で上から張る為のビニル床タイルは薄型になっている、という事です。
ビニル床タイルについての話はこれで終わりにしておき、次回はタイルカーペットについて色々と話をしていこうと思います。