前回は床仕上材として石材の種類について取り上げましたが、御影石(花崗岩)の特徴についてしか話が出来ませんでした。
今回は引き続き石材の特徴についての話と言うことで、大理石と石灰岩の特徴について考えてみることにしましょう。
□大理石
石の種類として、この大理石(だいりせき)と呼ばれる石種は、恐らく先ほど紹介した御影石よりもはるかに有名ではないかと思います。
石灰岩が地中でマグマの熱と圧力によって結晶化していき、それによって硬く変化していったものを大理石と呼びます。
この大理石が御影石よりも有名なのは、非常に有名な建物で大理石が使われているからではないかと個人的には思っています。
インドにあるタージ・マハルとか、古代ギリシャのパルテノン神殿とかで大理石がふんだんに使われている、というとやっぱり説得力があります。
はるか昔に建造されたものというのは、やっぱり圧倒的な存在なんです。
さて、この大理石の特徴はやはりその見た目の美しさにあります。
大理石の産地によって種類は様々ですが、決して真似の出来ない色とそこに刻まれた模様というのは、やはり天然素材ならではの美しさだと言えるでしょう。
大理石が放つこの雰囲気は他の仕上材ではなかなか真似が出来ないはずです。
上記はクレママルフィルと呼ばれる大理石で、こうした柔らかい色調の石を壁やカウンターなどで見たことがある方は多いのではないでしょうか。
ただ、今回紹介しているのは床仕上材としての石になりますが、大理石は床仕上材としてはあまり採用されない石種でもあるので、今回はあまり強く推せない感じもあります。
大理石は基本的に本磨きで仕上げることになるのですが、御影石の際にも話をしたように本磨きだと滑りやすいという欠点があるので難しいんです。
また、比較的柔らかめの石ですから傷が付きやすいという特徴もあるので、そうした色々を考えていくと床仕上材としてはなかなか採用がしにくい石なんです。
もちろん壁とかカウンターなどでは問題なく採用される石ですから、見た目の美しさを生かして床以外の部分で使っていくことをお勧めします。
□石灰岩(ライムストーン)
石灰岩が地中でマグマの熱と圧力によって結晶化していき、それによって硬く変化していったものを大理石と呼びます…
という話を大理石の説明をした際に書きましたが、その後で改めて石灰岩が登場するのはあまり分かりやすくない気がしています。
石灰岩(せっかいがん)は、海の底で貝とか珊瑚とか虫の殻などに含まれる炭酸カルシウムが積み重なっていき、それが固まって出来た石の事を指しています。
または、水から炭酸カルシウムが化学的に沈殿して出来る場合もあります。
結局は炭酸カルシウムが主成分になっているという事が言えます。
この石灰岩がマグマの熱によって再結晶されて大理石が出来る、という話は先ほどもしましたからそれは置いておき…
石灰岩は上記のように熱による影響を受けていない石なので、御影石や大理石などと比べると柔らかくて吸水性が高いという特徴を持っています。
以下の写真は石灰岩のひとつ「モカクリーム」と呼ばれる石ですが、実物を見てもらいたいくらい非常に美しい仕上がりになっています。
こうした色調の石であれば、他の仕上材との組み合わせも全然おかしくならないので、使い勝手としては非常に良いということが言えます。
ただ、柔らかくて吸水性が高いという特徴を持っている石ですから、残念ながら外壁や床仕上材などで使われることはなく、主に内部の壁などで採用されることになります。
非常に柔らかい色調を持っている美しい石ですから、建物のメインとなる場所で採用されてもおかしくないグレード感を持っていると言えるでしょう。