タイルカーペットと呼ばれる床仕上材は、カーペットだかタイルだかよく分からない名前ではありますが、タイル状に四角くカットされたカーペットです。
非常に多くの部屋に採用される床仕上材ですから、恐らく何度も見たことがあると思いますが、タイルカーペットはこんな見た目になっています。
カーペットタイルと呼ばれることもあるので少々ややこしいですが、順番はともかく意味は同じで指している商品も同じです。
タイル状になっているカーペットのサイズは一般的に500mm角である事が多く、それらを何枚も並べて床に貼っていく事で部屋全体をカバーしていくことになります。
このタイルカーペットが持っている特徴は以下のようなものがあります。
・デザインが非常に豊富で選択肢が多い
・柔らかい素材なので靴音などが響きにくい
・規格サイズが決まっていて持ち運びが便利
・様々なグレードが用意されている
・床に敷き詰めて貼っていくだけなので施工が簡単
・部分的に汚れてしまった場合でもそこだけを交換できる
・部分的に剥がせるのでOAフロアの上でも採用出来る
・経年によって厚みが少なくなってくる
・水を吸うので外部に近い部分には不向き
意匠的な選択肢が広くて施工が比較的簡単という事で、タイルカーペットは非常に使い勝手の良い床仕上材だということが言えると思います。
もちろんハイグレードな商品はそれなりの値段になっていく訳ですが、それでもフローリングとかタイルに比べると安価になります。
とは言っても長尺塩ビシートやビニル床タイルなどに比べると、グレードとしては高くなりますから、例えば倉庫とかで採用するのは勿体ないです。
もちろん水に濡れる可能性がある便所とか、洗面などには不向きですから、そういう意味で長尺塩ビシートの方が優れている部分もありますが…
場所によって適している床仕上材はそれぞれ違いますから、その部屋に合った床仕上材を選定していけば良いだけの話。
そしてそれは設計者が選択するものですから、それぞれの床仕上材にはどのような特徴があるのかをきちんと把握しておく必要があります。
さて、タイルカーペットの納まりについてここで考えてみると、基本的にはタイル状になっていてそれぞれを接着剤で貼っていくという納まりが基本になります。
なので、もちろん素材は全然違いますけれど、床コンクリートや床下地との関係は、前回紹介したビニル床タイルとほぼ同じ納まりです。
上図が床コンクリートの上に直接タイルカーペットを貼っていった場合の断面です。
もちろん先ほども特徴のひとつとして紹介しましたが、OAフロアの上に敷き込む床仕上材としてタイルカーペットを選定することも可能です。
その場合は下図のような納まりになります。
タイルカーペットの厚みは6mm程度ありますから、床コンクリートとの関係をどう考えておくかを事前にきちんと考えておく必要があります。
床コンクリートをFL±0にした場合には、床仕上材天端はそこそこ高くなってしまうので、あまり厚みがない床仕上材、例えば長尺塩ビシートとの関係を度のようにするかで結構悩むこともあります。
床仕上材が切り替わるのは基本的に部屋と部屋の境目になってきて、そこには大抵の場合建具が取り付けられることになるので、ドアの下で床仕上材を切り替えていくことになりますが…
実際にタイルカーペットと長尺塩ビシートは厚みが結構違うので、本当に厳密に検討をしていくと、どうしようか悩んでしまうはずです。
上図でも表現していますが、建具の足元に床見切り材を入れて納めていく、というやり方が一般的ではないかと思います。
また、タイルカーペットには様々な素材やパイルのパターンがあって、それぞれ組み合わせによって歩行感や耐久性が違ってきます。
天然繊維であるウールを使った場合はどうなるかとか、ナイロン・アクリル。ポリエステルなどの素材が色々ある訳ですが…
しかしそうした細かい話をしていくとなかなか次の話に進んで行くことが出来なくなるので、そのあたりの話は後で補足していくことにします。
次回はタイルカーペットの見え方に大きな影響を与えることになる、敷き方のパターンについて色々と考えてみることにしましょう。